デュラララにトリップ!

□街の日常 夜
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七音視点



「とりあえず、死ぬ前に何かしたい事ってあるかな?」



折原臨也は、カラオケの一室で物騒な事を口にした。



そして、ただ今、その光景をどうやって私と勇馬は見ているかというと…



ほら、カラオケには実は隠してるけど防犯カメラが設置されてるんだよねどの部屋にも。



だから、私と勇馬は今防犯カメラからこれを見ているんだ。



え、勿論タダで観させてもらえるわけないじゃん。



だから、店員には、「一緒に歌を歌う予定だったんですけど、実は携帯が壊れてしまって…情報を交換できなくなったんですよ。でも、必ず知り合いはもう此処に来ていると思うので、あの、防犯カメラから知り合いが何処の部屋に居るのか観させてもらっていいでしょうか?確認できたらすぐ出ますので。」

と、言い、店員の引き止める言葉も聞かず部屋に入り鍵を掛けた☆



これで入られないね誰にもww



勇馬『ホント君って悪い子だね〜七音ちゃん』



七音『アハハ、これも勇馬&臨也コラボを見るため!』



いやもうコレ興奮しすぎて凄いやばい状態なんですけれど←



勇馬『それで、さっきの告白どう返したの?』

七音『え?さっきの告白って?』

勇馬『煉人くんから告白されてたじゃん』



ああ、アレか←

いや興奮しすぎて忘れてたよww



七音『そういう勇馬はどうなの?告白』

勇馬『俺…?確かにあの子の事も好きだけれど俺は人間を平等に愛しているからって言ったよ』

七音『あの子なんて返したの?』

勇馬『ん〜…諦めませんって言ってたよwwまぁ何事もすぐ諦めるのはあまり良くない事だから尊敬はするけどねwwそれで君は?』

七音『う〜ん…確かに顔良かったけど断った。私なんかと付き合ったっていい事ないからね〜』

勇馬『うん。絶対にそうだろうね

七音『即答しないでよっていうかちょっとくらい慰めてくれたっていいじゃん』

勇馬『え? ヤダww

七音『……(涙)…ああ、でも煉人くんも諦めないって言ってたなぁ』

勇馬『ふ〜〜ん…良かったじゃない愛されてww』

七音『何その嘲笑い。…おぉぉぉぉぉ!女の人達怒りだしたよ!』

見ると、女の人2人が立って臨也に突っかかってたww

勇馬『へー死ぬ気ないんだ』

あ、勇馬もちょっとは興味を示したか!?

キタぞこれは!



「最低だよ!ふざけんなよ馬鹿!何様なのよアンタ!酷過ぎるよ!」

七音『何アイツ俺の嫁に怒ってんの?理解できん』

勇馬『いやアレが普通の人の反応だよ。自殺願望者のねww』



臨也「え、何で?」



七音『キタ!キタキタキタキタキタキタ((』

勇馬『とりあえず今は黙ってて?』



それは------------本当に『何を言ってるのか解らない』といった表情だった。



子供の様な目で二人を交互に見渡した後に一回目を瞑り---------------

数秒後に臨也が目を開いた時には、先刻までの楽しそうな表情が全て消え去り、新たな笑顔が浮かび上がる。

「ひッ……?」

それを見て、あの世を信じていた女の方が悲鳴に近い息を漏らす。

臨也の顔に浮かんだのは、確かに笑顔だった。だが、今までとは全く違う種類の笑顔。

二人の女は、それを見て初めて『笑顔にも種類がある』と思い知らされる。

まぁ、私も勇馬に散々思い知らされてきたから今だけこの二人の女に同情してしまうが。

その笑顔は笑顔でありながら仮面のように無表情であり、笑顔でありながら何処までも冷淡で

そして--------------笑顔であるが故に、見るものに果てしない恐怖を与える、そんな笑顔だった。

本来ならば山の様な罵詈雑言が続くであろう状況にも関わらず、二人の女は口が動かない。

動かす事ができない。まるで目の前に居るのが人間では無い何かのような錯覚に囚われる。

臨也はその笑えない笑顔を崩さぬままで、先程と同じ質問を繰り返した。

臨也「何で?一体何が酷いのかな。それが理解できない」

「何でって……」

臨也「君達は」

女の言葉を遮るように、臨也の言葉が強い調子で畳み掛ける。

臨也「死ぬって決めたんだからさあ。もうほら、どんな事を言われても気にする必要無いじゃん。騙されても罵られても、少し後には全部消えるんだ。俺にこうして騙されているのが苦痛なら、舌を噛み切ればいいよ。舌を噛み切るってのは、別に出血多量で死ぬわけじゃない。ショックで舌の残りが喉を圧迫して窒息死するんだ。そうすれば嫌な事も何もかも無くなる。存在しなくなるんだよ。それなのに酷いなんて、酷いなあ」

うん。まさにその通り。

「そんな事は解ってるわよ!でも……」

臨也「解ってない」

先刻『あの世には何も無い』と言っていた女に対し、更に強い調子で言葉を浴びせかける。

----------笑顔のままで。

臨也「解ってないよ、全然解ってない。君はあの世には無しかないと言った。そこがね、違うんだよ。もう苦しまなくて済む、そういう意図で言ったのかもしれないけれど----------死ぬってのは-------無くなる事さ。消えるのは苦しみじゃない、存在だ」

女達は反論しない。臨也の笑顔に気圧されているのだ。

臨也の笑顔はますます歪むが、話している相手に人の心というものを感じさせぬままだった。

臨也「何も無い状態が『無』じゃないんだよ。無というのは必ずしも『有』の対立存在ではありえない。君の言っている無は、何も無い事、永遠の闇。だが、そこにはその闇を知覚している自分という存在があるじゃないか。全然無じゃないよそんなの。苦しみから解放されようとして死ぬというのならば、『苦しみから解放された事を認識する自分』が必要じゃないのかい?君達は『自分が何も考えていない事すら認識できない』という事すら認識できない、その状態が想像できていない、-------君達二人の考えは、本質的なものは何も変わらないよ。こんな事はあの世を信じていないならば小学生でも理解して、一度は恐れ、悩んでいる事だろう?」

実際、臨也が言っているのは穴だらけの意見であり、いくらでも反論できるという事を二人の女も頭では理解していた。だが、どのような反論をしたところで、相手に言葉というものが通じるのか-----

疑問ではなく、恐怖が二人の女性の中を支配し始めていた。

「でも……だって……それは貴方がそう思ってるだけでしょう!?」

胆力を振り絞って出したその言葉も、臨也の笑顔が淡々と喰らい尽くす。

臨也「その通り。正確にはわからない。俺が勝手にあの世が無いって思ってるだけさ。まあ、あったらラッキーだと思うけどさ。その程度のもんだよ」

ハハ、と無機質な笑いを漏らしながら、臨也は更に明るい調子で話し続ける。

臨也「でもさ、君らは違うじゃん。あの世も中途半端にしか信じてない。それとも君の信じている宗派は自殺を肯定した上に『就職や恋愛に失敗したら死ぬと良い』とでも教えてるのかな?それならば俺は何も言わないし立派だとさえ思うが-------そうでないのなら、まあその、黙れ」

そして、同意を求めるように小首を傾げながら、ゆっくりととどめを吐き出した。

というか小首を傾げてるところで鼻血出ちゃったんだけどどうしよう??

臨也「中途半端にしか信じてない奴があの世を語るのやめようよ。それは、あの世に対する侮辱だ。本当は死にたくなかったのに、他人の悪意に追い込まれて死んじゃった人達に対する侮辱だよ」

時間にして数秒。しかしそれは、二人の女にとっては実に長く感じられた。

七音『神谷さんお疲れ様です…』

勇馬『臨也…くんだっけ?彼って意外と中二病だね〜』

七音『君も人の事言えないんじゃ』

勇馬『黙れオタク^^
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