捧げ物

□代わりなんてどこにもいない
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真崎家の話。



「暇〜〜〜」

そう言って寝転がっているのは真崎家の弟、夜月である。

「………」

そして眼鏡をかけ、無表情に本を読み続けているのは真崎家の兄、優人である。



が、2人は双子だ。



「なぁ暇〜〜」



何回も言うその言葉に、流石に疲れたのか優人は、

「ならそこで一人でダンスでもしておけばいいだろ」

と本から目を離さずに正論を言った。



そうだ。夜月はダンスが好きなのだ。

兄の優人はただ歌ったり聴いたりするのが好きなのだが…



二人は双子の兄弟だというのに性格は真逆だった。



「ダンスする体力さえ今の俺には無い」

真顔で言ってのけた夜月に優人は思わず溜め息を吐いてしまった。



「なら寝とけ」

「嫌だ」



暫し沈黙。



「…じゃあ散歩でもしに行け」

「無理」



また沈黙。



流石に本を読みながらもどうしようかと悩む優人。



暫く沈黙が続いたがやがて



「なぁ」

夜月が沈黙を破った。



「……なんだ」

やはり目は本から離さず返答する優人に。



「俺達血、繋がってなかったらどうする?」



暫しまた沈黙。



「顔は似てるのにか?」

「ああ」





沈黙。
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