捧げ物
□人見知り
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高校三年の桜はやはりひとつ悩みがあった。
それは、人見知りである。
もう人に声をかけられるのさえびくびくし、
自分から声をかけるのさえ怖くて無理なのである。
はぁ…と溜め息を吐き、家路を急いでいると、
目の前にピンク色のボールが飛び込んできた。
跳んできた方面には小さな公園。
誰のかな?そう思ってボールを拾い上げた時、
公園から一人の少女が走ってきた。
見るからにまだ幼い…いや、小学生ぐらいの子である。
ピンク色の肩にちょこっとつくくらいの髪に、幼い童顔の少女。
「あ……あ、あ、あ、…あの…そ、ソレ…」
びくびくしながらボールを指さすその少女に、
「あ!…す、すすすみませんっ!!ど、どうぞ!」
と頭を下げ、ボールを差し出す桜。
いきなり頭を下げてきたのでビクッと驚きながら、少女はボールを取った。
「あ、あ、あ、あ、あ、有り難う…ご、御座いますっ!」と礼を言った少女は
次の瞬間、ダッシュで目の前から消えた。
少し呆気にとられたものの、桜は(…あの子人見知りなのかな…)と思いながら家路に着くのだった。