テニプリ

□ありがとう
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ああ、痛い。

あれから、数時間後、みんな帰って行った。

ブン太以外全員。

ブン太、結局殴ってこなかったな。

体中が悲鳴を上げている。

やっぱテニス部の力を舐めちゃダメだ。

どうしようか?

保健室に行こうかな…いいや、駄目だ。

緋音ちゃんが居る。

痛そうにしている緋音ちゃんを見たくない。

…このまま帰ろうか。

身体を起こして帰ろうと校門方面に足を進めると…

ぐっ

手を摑まれた。

摑んだ相手が誰かなんて解っている。

「なに?…殴りたい?」

と、相手の方に向き直る。

殴っていいよ。

殴ってないじゃん。

ほら、殴れば?

いつまでたっても頬に痛みが走らない。

どうして?

ねぇなんでよ?ブン太。

ブン太はただ私を見つめて。

無表情に見つめて。

そして。

「痛いだろ?」

と、聞いてきた。

なんて?

え?なんて?

「…え?」

言っている意味が解らない。

するとブン太は

「ちょっとそこで待ってろい。」

と、言い残して何処かへ行ってしまった。

何でだろう?でも待つことにした。

だって先に帰る必要も、権利もいまの私にはない。

少しするとブン太はなにか箱を持って走ってきた。
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