黒バス long
□始めようか
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「まぁさっきも言ったように、白川ちゃんはねぇ、マネージャーになるかどうか判断したくて見学?に来たらしいんだよねぇ〜」
「…やりたくないというワケではないんだけど、私がマネジメントするに値する部員なのか気になったダケ」
ぼそぼそ言った言葉に過剰に反応したのは火神クンだった。
「随分な言い方だなァ、そういうお前はどうなんだよ白髪女」
「白川アカネっていう名前がちゃんとあります」
火神クンは見た目通りに気性も荒い人のようだ。
また面倒な人がエースになったもんだ。
睨み合っている私達を見かねた相田先輩が咳払いをして話を切り替える。
「えーとね、白川ちゃんはこう見えて。
一昨年の夏の全国大会決勝にまで上り詰めた非常に優秀な子です」
監督の説明におぉ、と感嘆の声を漏らす部員。
一人だけ納得できないような態度をとって詰め寄ってくる。
「監督の言う事だからマジなんだろうが、その程度で達観するモンじゃねぇな」
私を見下ろしながら鼻で笑う火神クンは、自分の言っていることを自分に聞かせるべきではなかろうか。
こうも好戦的だと、どうせ実践でどうとか言うんだろう。
「・・・別に、その成績は私一人のモノではないし。
・・・・・・あんな部の成績なんていらない」
「あ?」
「・・・見学しようと思ったけど、やっぱ帰っていいですか?」
「はぇ!?いや、ダメよ!!」
帰ろうと後ろを向いたところで相田先輩に肩をつかまれて引き止められる。
そのまま、横目で火神クンを見ながら言う。
「弱い奴ほどわめくとはこの事ですね。本当にここのエースなんですか?火神クンは。」
「え」
「ほーぅ・・・」
わざと挑発してみると、火神クンはあっさり引っ掛かってくれた。
バスケではエースかもしれないが、頭は悪いらしい。
「だったら試してみるか?」
「…何を」
「一対一。やろうぜ」
火神クンの短絡的な誘いに驚いた先輩方は大声を出す。
そしてあたふたと慌てながら私と火神クンの間に入る。
「いやいやいや!!アホか火神!!」
「このバ火神!!女子に一対一なんて申し込むな!!バ火神!!」
「お前がそこまでバカだとは思わなかったぞバ火神!!」
「バカバカうるせぇ!!!!!・・・ッスよ!!!!」
先輩達に囲まれて一斉に怒鳴られた火神クンは多少はたじろぎ、そして口論になる。
あきれてそれを眺めていると、ふいに肩を叩かれた。
振り向けば、いつからそこに居たのか、例の黒子クンが居た。
「あの、すみません白川さん。
火神君。すぐにムキになっちゃうんですよ」
「だろうね。
でも、キライじゃないよ、分かりやすくて」
「え」
手首にかけていたゴムで髪を一つに束ねる。
その仕草に相田先輩も驚いていた。
「えぇっ、まさか受けるの!?」
「受けますよ。別に勝てると思ってません。
どんなもんか見てみたいだけです」
「…・・・そっか。
まぁ、火神クンも驚くと思うよ」
クスリと笑いながら、相田先輩を見る。
「だと良いですね」
先輩達と口論になっている火神クンに歩み寄る。
近くで見ると本当に大きいな。こりゃ勝てるわけがない。
まぁ、でも。
「受けるよ。一対一」
「「えぇぇぇ!?」」
「…そうこねぇとな!」
女だからってなめられたくはない。