黒バス long

□臆病だから
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翌日。

私はいつも通りに耳にイヤホンを挿して音楽を垂れ流しながら登校。

昨日の夜は、嫌なことばかり考えてしまい、あまり寝付けなかった。

おかげで若干寝不足なのであくびがこぼれる。


校門を通ったところで、頭を軽く叩かれて訝しげに振り返ると、火神クンが居た。


どうやら、イヤホンを取れとジャスチャーで訴えているらしい。

私は嫌々イヤホンを外してプレーヤーの電源を切る。



「音でかすぎねぇか?ソレよ」


「そうかもね。
まァ、今まで朝は一人で登校だったし」

「寂しい奴だな」

「火神クンもでしょ?」


靴を履きかえてクスリと笑ってそう嫌味を言ってやると、

火神クンはケッと吐き捨てた。

相も変わらず私の扱いが酷い男だ。


「っていうか今まで気付かなかったの?」


「何が」


「私、火神クンの隣の席なんだよ?」


「………」

「・・・・・・おーい」


「はぁっ!!???」


つんざくような大声に思わず驚いてしまう。

そんなに驚くことじゃないでしょう。

っていうか、本当に気づいてなかったんだね。


「授業中いつも寝てるからだよ」

「いや、それでも普通気づくだろ…。
お前もアレか、黒子か!?」

「違うよ。いいから早く行こうよ」


なにかと騒ぎ立てる火神クンを放っておいてさっさと教室に向かう。


教室に着けば、自分の席について荷物をしまう。

火神クンはありえないと言った間抜けヅラで自分の席に着いた。

そして改めて私の席が隣ということを確認した。


「…マジだ」

「ね?
あっ、黒子クンおはよー」

「おはようございます。
・・・・・・火神クンはバカみたいな顔してどうしたんです?」


「彼は自分のバカ具合に驚いてるところだよ」

「誰がそんなことするか!!」

「あぁ、なるほど」

「黒子も納得すんな!!!!」






「――であるから、ここは・・・」


なんともつまらない淡々と進められる日本史の授業。

昨日から寝不足な私はあくびを噛み殺しながら隣に目をやる。


思った通りに、火神クンは寝ている。
机に突っ伏しながらがっつり寝られるとすごく目立つんだよね、火神クン。


まぁいいや。放っておこう。

ついでに一緒になって寝ている黒子クンも放っておこう。


次の授業には、さすがに起きているだろう。





「ねぇねぇアカネー」

「ん?」

「なんか今朝、火神君と仲良くなかった?」

「そうかな。普通でしょ」


次の授業の体育のために、女子は教室で着替えているところ。

皆男子がいないこの瞬間、結構本音を漏らしながら着替えている。



「火神君ってさぁ、なんか怖くて近づけない雰囲気じゃん?
女子と話してるのだって、相田先輩だけだしー」


「…まぁ、バカだからね」

「アカネ言うねー」


バシィッ

授業はバスケ。

私は男子に見られたい女子の黄色い声を無視して適当にプレーをする。

一応パスを回すけど、なぜかすぐに返ってくる。

うまい人に回したがるクセが見えまくりだ。


「あー・・・バスケやりてぇ」


「やってるじゃないですか。」

「こんなのバスケじゃねぇよ。球遊びだ」

「ボクは別に・・・。
あっ」

「おい外すな。相変わらずパス以外ダメだな」



「バスケやりたい」

「何言ってんのやってるじゃない」

「こんなのバスケじゃない。
あれよ、球遊び」

「そりゃアンタはうまいしねぇ」


回ってきたボールをそのままシュートする。

シュートするだけで黄色い声に包まれるとは、

やっぱ授業のはつまらないな。


「(昨日のは・・・)」

「(中々やりがいがあったな・・・)」


思いのほか、心のどこかで、

またちゃんとやりたい、と思っている私が居るらしい。
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