復活 long

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あれから数時間後。

オレとミシェルは、事前に部下が下見に行った目的地へと車を走らせていた。


オレが運転しているのを他所に、街灯と月明かりだけの薄暗い街を眺めているミシェル。


ミシェルの腰には二丁の拳銃と二対の刀。
んなに腰に差して重くないか、と以前聞いたことある。
ミシェルはその時も、軽く笑いながら、


「流石に少し重いですが、これが私の戦闘スタイルなので……、気にしないでください。
むしろ私は、貴方が男だというのにそんなに髪を長く伸ばしていることが、不可解なのですが、
女装家かなにかそういう気のある方なのでしょうか?」


と、言い放っていた。
オレの質問に対する返答より、ミシェルの質問の聞き方の方が頭に残ってしまっているから、こいつは時にムカつく。


「スクアーロさん、今回のターゲット、どんな人なんでしょうか」

「任務の詳細ぐらい頭に入れておけ……!!
テメェ、やる気あんのかぁ?」


「やる気は無いですが、殺る気ならあります。
伝わりますか?」


「るせぇ、そんぐらい心配しなくとも嫌っていう程伝わってるぜぇ!!
ついでに同僚のやる気の無さもしっかりなぁ!!」


「それは良かったです。
で、ターゲットって、どんな人でしたっけ?」

「テメェの膝の上のカバンに資料が入ってっから、今のうちに頭に叩き込んでおけぇ」


間延びな返事を他所にオレのカバンの中から資料を取り出し、車内のライトを付けて黙々と読み出す。

コイツはやる気こそ確かに無いが、なんだかんだ言って仕事はこなす。

それに要領と判断力は良い。

うちのボスもそれを買ってコイツを幹部に雇ったらしいが、もちろん理由はそれだけじゃないだろう。


一見、人を殺すどころか虫さえも殺せ無さそうな、それぐらい育ちの良さそうな小柄な身体つきのコイツ。


ただの下っ端でもなければ、いきなりヴァリアー幹部に就くたぁ、立派な奴だ。

度胸もあるみたいだしな(そりゃあ、会ったばかりのオレにあんな質問投げかけるだけはあるってもんだ。)


「ボンゴレの裏切りですかぁ、アホですねぇ。
そんなことしなければボンゴレの恩恵も受けられただろうに……」


「目の前の富に目が眩んだんだろうなぁ。
そんなに大きなファミリーでもなさそうだし、色々切羽詰まってたんだろ」


「ふぅん、……後悔先に立たずとはこの事でしょうね。
仮にここのボスが、取り引き相手に騙されてたとしても、罪は罪。
裏切りは裏切り。
しっかり“お仕置き”しませんと……」


そう言ってミシェルが中に資料を突っ込んだ。
こいつワザとしわになるように入れやがったな。


そこで、車は目的地に着いた。
ミシェルはにんまりと笑うといち早く車から降りて、銃を手に取って安全装置を外した。
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