復活 long

□02
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ミシェル。
この女は、正直、普通ではない。とは思う。
まあ、暗殺業に就いてるからとかそんな事ではなく。


ちと前の話を、してやる。


これはミシェルがヴァリアーに就いたその日の話だ。

所謂、初日という奴だから、王子達とはもちろん初対面なわけだ。


だというのに、このミシェルとかいう女は。

まん丸の目で俺を見ながら、こう言い放った。



「初めまして、ベルフェゴールさん。
私はミシェルと言います。
時に、気になったので聞きますが、その引きこもりがちな人みたいに伸ばしに伸ばした前髪は、邪魔ではないでしょうか?」



さすがの王子も軽くムカついたのでナイフを投げてやったらミシェルは軽々と避けやがった。


ミシェルが普通ではない、ってのは、この時に勘付いた。


度胸、てやつが並み外れたレベルのものを兼ね備えているのか、

もしくはただの怖いもの知らずで世間知らずでマナー知らずの大馬鹿女か。

そのどちらかだった。


だった、てのは解決してるわけで。

ミシェルは前者だったて話だ。


幹部全員にはそんな失礼極まりない質問を投げかけた癖に、ボスには至って普通の受け応え、質疑応答、社交辞令を振舞っていたワケだ。


それが当たり前なんだけど、なんだかムカついたから「なんでボスには普通なんだよ?」って聞いたら、



「ボスに皆さんにしたような質問したら、殺されるに決まってるからじゃないですか。
王子様、それぐらい察してください」


と、また人の神経を逆撫でするような返答をしたので先程と同じようにナイフを投げ込んだワケだが。

コイツは度胸があるのと同時に一言余計なのかもしれないな。


てスクアーロに言ったら、テメェが言うなって言われたけど。



と、ちょっと前の話はここでおしまい。


つまる話、ミシェルという女の弱点を知りたいんだよね、王子。


あそこまで度胸ある奴でも、流石に苦手なものの一つや二つあるだろうし。


度胸ある奴の前提に女なんだし。

もしかしたらコンプレックスもあるだろうしね。しししっ。なんか楽しくなってきた。


身体を起こして談話室へと向かう。


早速、皆に話してこよーっと。

王子ってば、ナイスアイデーィア。




「しししっ。
皆居るー?」



談話室の扉を後ろ手に閉めながら人数を確認する。

どうやら、ボスと、ミシェル以外の全員が運良く揃っているらしい。


ししっ。さっすが王子。



「どうしたのん?ベルちゃん。
やけに機嫌良いわねぇ」


「しししっ。
あのさぁー、王子ちと気になる事があんだけど」


「くだらない話だったら聞かないよ」


逃げようとするマーモンを捕まえて抱き抱えてソファに乱暴に座る。

ふにふにとマーモンの頬を突きながら話を続ける。



「ミシェルの弱点、知りたくね?」
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