夜桜
□02
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「そんなすぐには定着しないわ」
「だろうな。
お前が定着するまでは、お前はまだ半妖程度の力しか出せない。
もちろん、俺の影を拠り所にすることも出来ん。
しばらくは留守番だな」
「……ゔー……
退屈」
至近距離で向き合ったままそんな話をする。
円神は最初こそ嫌がっていたけれど、諦めてくれたのか、そんな素振りを見せることなく話していた。
相変わらず蛇達を気味悪がっていたけれど。
「円神…?
もう少しこうしてても良い?」
「ああ。
だがさっきとは裏返した様だな。
何かあるのか?」
「妖力が定着する一瞬、妖力が溢れちゃうの。
それであなたの事傷付けたくないから……
定着したら、ちゃんと影の中に入るわ」
「……その影の中に入れるための儀式も、あまり好きではないが」
「何でも知ってるわね。
でも仕方ないでしょ」
私だって、影に入るためって理由だけでするのは嫌なんだから。
我侭を心中で言って、円神に擦り寄る。
「……ッ!
円神、そろそろかも……」
「そうか」
円神はそれで腕の力を緩めるかと思ったけれど、そうはせずにむしろさっきより腕の力を強めて更に抱きしめた。
「円、神っ……?
ダメ、離して……」
「さっきから随分勝手だな。
たとえ妖力が溢れたとしても俺を傷付けられる程ではないんだろ?」
「……、それは…」
「図星か。
なら本当はどうなんだ?
別の理由があって、俺から離れなくちゃいけないんだろ?」
耳元を甘噛みしながら意地悪くそんなことを聞いてくる円神。
本当は、妖力が溜まりすぎるその一瞬、体が敏感になりすぎるから。
でも、こんな事言ったら、意地悪の円神は何するか分からない。
だから黙ってるけれど、どうせバレてる。
さっきから腰を撫でる手つきにすら、私の体は反応してしまっているのだから。
「ね、円神?
離して…、お願い……」
「断る。
お前を離す理由なんて無いだろ?
それにしても、さっきから黙ってるな、どうしたんだ?」
「……ッ、手、やめて…」
「話したくないか。
まっ、お前は分かりやすいからな。
もう分かり切ってる」
「意地悪っ、……ッん、ダメだってば……」
腰を撫で回す手とは別の手が胸を撫で回し、柔らかさを楽しむように愛撫し始める。
その刺激に喜ぶ体に鞭打って引き剥がそうとするも、それはむしろ円神を楽しませる薬にしかならなかったみたいで。
薄いタンクトップの下に手を滑り込ませ、腰にやっていた手は私を離さないばかりにしっかりと私を抱きしめていた。
「……ッん、円、神っ
嫌だってば……、あっ、ひぁっ」
「ふぅん、いい声で鳴くじゃないか。
もっと聞かせてみろ」
更に敏感になってきた体は、円神からの刺激を素直に受け入れて、体に力が入らなくなる。
耳を甘噛みしたのを合図のように、スカートの下に手を這わしてきた。
「やっ、そこはっ……!」
「ん?
ここがどうかしたか?」
「円神っ、ダメ、本当に……ッ!
んぁっ、あっ……」
スカートの上から敏感な所を擦られて、思わず円神を抱き締める。
それを待っていたのか、妖力が少し定着したおかげで蛇から元に戻った髪をどかして首筋を舐め、下着の隙間に指を割り入れる。
「やっぁ……、あんっ、円神っ、円神っ……!」
「楽しめよ、な?
……どこが、イイ所だ?」