dreamA

□褪せて、消える
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一緒にいた年月はそれほど長いものではなかったので、思い出はすぐに消えてしまった。思ったより簡単で未練もしがらみも残さずキレイにさよなら。望んだのは永遠だった事実にもサヨナラ。


「まさかこんなに脆かったとはねぇ…」


墓前に立つ足は、疲れを感じる事を忘れて震えを棄てた。墓標のごとき二刀を見る目は、現実を見る事を強く拒んだ。彼に触れた心は、痛みと圧迫感で破裂に追い込まれた。


「あーもう、」


嫌になると嘆き空を見上げる。最期に見た彼の色が空に紅々と広がった。生きてる意味が消える音が鼓膜を震わせる。心を奮わせる。景色は色褪る。


「サヨナラ」


ようやく世界への挨拶が済んだ。
















(070803)
紅に還ろう。

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