なんという事でしょう。空は青いし、雲だって相変わらず白いのです。しかしながら、これは、なんという事でしょう。素晴らしい意味で何かが非常なのです。
「止める」
「なに、を」
狼狽せざるを得ない程に。それ程に彼の発言は唐突だったのです。いつもの事ですが。しかし突然その言葉は投げられたのです。
「これからは、お前の為だけに生きる」
それだけだ、と顔を赤くする事もなく貴方は言い放ちました。私には十分過ぎる程なのですが。それ以上に何があるというのでしょうか。
「幸せにする」
「…」
「後悔はさせない」
「…」
「俺を信じろ」
「…、っ」
「俺だけ、を」
「…うんっ、」
薬指にはめられた銀色は涙で霞んで見えなかったのです。