dreamA

□どうしようも無く
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静まり返った教室で無意識を貫けば自分の呼吸の音だって聞こえない。そう思って、意識して、あぁ呼吸がうるさいだなんて。


「あ、」

「あ…」


ガラリという音と共に教室に入って来た政宗は意識を呼吸から遠ざけてくれた。隻眼が驚きを見せる。


「補習か?」

「ううん、ちょっと一人になりたくて」

「ふーん」


じゃまして悪かったなと頭を掻いてくるりと背を向ける。そしたら教室には私だけ、また一人。


「忘れ物は?」

「ねぇよ」

「じゃあ何で…」


あれ、背を向ける瞬間のその優しい笑顔は何だろう。優しい政宗なんて気持ちが悪いのに。


「あ、のさ!」


望んだくせに寂しくなった。これはきっと政宗が来た所為。だから勝手だなんて言わないで責任取ってよ、お願いだから。


「何だよ」

「ちょっとで良いから、側にいて」
















(070806)
彼の頭部が縦に揺れた。

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