好きという言葉に慣れてしまったなど尋常な事ではないと解っている。
だけども、こう毎日言われてしまえば本気ではないような気もするしどうでも良い事に思えてならない。
「好きだって言ってんだろ」
言い方も少々悪い気もするがこの際それは考えない事にしよう。自分のそれより太い腕に抱かれながらぼんやりと考えた。この状態に慣れてしまっているのも如何なものだろう。しかしながら今更逃げようとする気も起きない、いやそんな気は最初から持ち合わせてはいなかった。
「嫌い、」
「ぁん!?」
「じゃない」
「あ、あぁ…」
私の言葉一つでこうも変わってしまうなんて、貴方も大概に単細胞。
「好きだよ」
「解ってらァ」
強い力で単細胞に包み込まれていく。いっそ押し潰してしまえば良いのに。伝わってくる溢れんばかりの優しさに、私も大概に単細胞だと思い知らされた。