Novel

□【優しいハロウィン】
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少しだけでもいいから
会いたいな…


そっと送信ボタンを押し
メールを大好きな人へ送った


【優しいハロウィン】


今日はハロウィン
笹塚さんはあまりそういうの興味ない人だから
多分、何もない

だからね
甘い
少女漫画みたいなのとか
何かくれとか
そこまではいいの

ただ
大好きな人に言ってみたい
それで
悪戯出来たらいいな


「ごめん、待たせた…」


夜しか会えないと言われ公園の入口で待ってたら
車が目の前に止まって
笹塚さんが出てきた

私は首を振り
笹塚さんにエスコートされ
助手席に乗った


「笹塚さん、トリック オア……」


最後まで言う前に
カボチャの絵とかが描かれた可愛い袋を手渡された


「今朝から石垣が騒いでたから」


どうやら見抜かれていたよう

何もないだろうと思い
キスでもしようかなと
大胆な事を考えてた自分に
思わず赤面した


ぽんぽんと頭を撫でられ
嬉しいような恥ずかしいような
そんな感じ


「もうこんな時間だし送ってくよ」


学生には遅い時間
笹塚さんは警察だし
やっぱり気にするんだよね
私がワガママ言ったから
来てくれたんだよね

でも、もう少しだけ…



私は笹塚さんの腕を掴み
車を出そうとしていた横顔にキスをした


「まだ、足らないです…」

ワガママ過ぎるけど

せっかく久しぶりに会えたのだから


「Trick or Treat」


静かに言われた言葉に私は驚く


「ないなら悪戯…ハロウィンが終わるまでドライブな?」


笹塚さんがそう言って車は動き出した


私は大きく頷いてから
笹塚さんから貰った袋を開けた



おしまい

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