Novel

□【綺麗とは良い様だけを指すとは限らない】
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この高鳴る心音は
初恋に似た感覚から来るものなのか

それとも
新たな人種に出会った衝撃から来るものなのか

【綺麗とは良い様だけを指すとは限らない】

会った瞬間だった

ギロリと下から鋭い目付きで睨まれ
思わず両手を上げた


「おっと、オレが何かしたか?」


殺気を放つ目を見つめ話し掛けた

厄介事を起こすのは面倒だと落ち着いて探るが
見覚えもない顔だし
思い出すことが出来ない


ふっと相手は笑った

その時
綺麗な笑い方するなと自然に思った

珍しいくらい作ったような悪者の笑い方
口角が上がるとはこう言うのを言うんだなとわかった

「貴様はつまらんな」


そう言い
踵を返す相手

別に面白いのがいいとは思わない

しかし、つまらないのも問題ではあるし

何故か
あの笑い方ではない
楽しいとか嬉しいという笑い方が気になったのだ


気がついたら腕を掴んでいた

「いつか笑わせてやるよ」

そう言ったら
つまらなそうに振り向いた感情のない瞳に
また光が宿った


「いいだろ、いいだろ、いーだろ、面白いやってみろ」


特徴的な話し方でまた口角を上げ笑い

そいつはオレの手を鞭で叩いた


痛みのせいか?
いや、他の何かだ…

煩い心音に静かに耳を傾けながら
遠ざかる背中を見送った


グロ・キシニア
綺麗な花の名に相応しいくらい
綺麗に笑う男だ



End


綺麗の意味

綺のように麗しいこと
服装が派手で美しいこと
花やかに美しいこと

濁り汚れをとどめないさま
澄んで清らかなさま
いさぎよいさま
さっぱりしているさま
あとに余計なものを残さないさま
整っているさま

広辞苑より引用させて頂きました。

綺麗の取り方を間違えている気はしますが
こういうのもアリかなと思いまして

グロ様はきっと綺麗に嫌らしい笑みを浮かべて下さるのでしょうね

形容しがたいほどに…

楽しかったです。

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