悪魔の長い夢《長編》

□悪魔の誘い1
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「待てよ、バージル!早いって!!」
「お前が遅いんだ。行くぞ」

暗い闇の中、赤と青の対照的な二人が森の中を駆けて行く。
青い彼、バージルと呼ばれた男は後に遅れて来る赤の彼、ダンテを待たずにひたすら走る。

「ったく、お前は昔から短気で…!少しくらい待ってくれたって…!」
「置いてくぞ!」
「あー、もうわかったって!」

息が上がったダンテは少し立ち止まって息を整える。
が、バージルはそんなダンテを無視して進んでいく。
それをダンテは慌て追いかけて行く。

「ん…?」

前を颯爽と行くバージルが何かの気配を察した。
すぐそのあとにダンテも気付く。

「これって…。事務所の前じゃないか?」
「あぁ。壊される前に向かおう。いつぞやの様にな」

益々スピードが上がるのに悲鳴を上げるダンテだが、大事な事務所の為だ。
ダンテは無我夢中で追いかけるのだった。




†††††††

「…ん…」

意識がはっきりしてくる。
どうやらアスファルトの上で寝ていたようだ。
ゆっくりと身体を起こす。

「…どこ?…ここ」

周りを見渡すと、おかしい点に気付く。
今まで学校に居たはずなのに、全く別の所にいる。

そして目の前にある店。

「"Devil may cry"…?悪魔も泣き出す…かな?」

そこにあったおおきな店みたいなもの。

"悪魔"…………?

「オイ!危ないぞ!避けろ!」
「ぇ…?」

いきなり後ろから言われて振り向く。
すると真後ろには紅い目を揺らめかせ、大きな鎌を降り下ろそうとしていた。

逃げなきゃ。逃げなきゃ。逃げなきゃ。逃げなきゃ。
殺される、殺される、殺される、殺される、コロサレル…!


私はその呪文のように頭の中を旋回する言葉に呑み込まれ、動かない足。





私…死ぬの?


→続く

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