番外編
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僕の投げた石は見事に上空を飛ぶハングリラ鳥にヒットした。
気絶させるつもりでかなりの力を入れて投げたんだけど流石は鋼鉄の鎧。
軽く跳ね返して・・・そして僕をロックオンしたみたいだ。
うわぁ・・・
相当怒っていらっしゃる;
そりゃそうだ。
気持ちよく空を飛んでたのに急に石なんかぶつけられたら普通は怒るよね。
僕だって怒るしね。
でも・・・
『・・・それくらい予測してない僕ではないんだよ?w』
僕は僕に直下してくるハングリラ鳥目掛けて、地面を蹴った。
**************
・・・・ふむ。
あれから僕はハングリラ鳥を無事に捕獲した。
鋼鉄の鎧の様な羽を持っていようがなんだろうが僕にとって捕獲レベル3の猛獣なんて赤子の手を捻るようなもの。
だから美味しくいただこうかなぁって思ったんだけど・・・・
力なく横たわるハングリラ鳥の傍らに・・・一匹のトナカイの、ぬいぐるみ??
思わず首をかしげてしまう。
ハングリラ鳥を倒したと思ったら嘴にトナカイのぬいぐるみを咥えていて、地面に落ちた衝撃で嘴から転げ落ちた。
ってか、最近のぬいぐるみって凄いのねぇ。
すっごい自然に動くの。
転げ落ちてすぐ、トナカイちゃんは木の陰にダッシュで逃げて何故か木から体を出してこちらを覗いている。
それって反対なんじゃないのかなぁ・・・
『えーっと・・・貴方はぬいぐるみ?ロボット?それとも本物のトナカイ??』
「っ!!っ!!;」
『何でハングリラ鳥に咥えられてたの?もしかしてピンチだった?』
「・・・・・;」
あらら、何も答えない。
せめて一鳴きくらいしてもいいんじゃないかなぁ・・・
しかし本当に謎だなぁ。
ふわふわで暖かそうで・・・・ってか、
『・・・・美味しそう?』
「っ!!!;」
そう言えばトナカイのお肉って美味しいよねぇって思ってつい口走ってしまえばトナカイちゃんはもんのすごい動揺し始めた。
いやいや、別に食べようなんて思ってないんだよ?
もうハングリラ鳥は仕留めたし食材は足りてる。
だから決して食べるつもりなんてなかったんだけど・・・・
あの真ん丸のフォルムを見ちゃうとね。
なんかフワフワしてるし・・・
『・・・確かトナカイの肉って保存食向きだって話だよね。毛皮は暖かいし・・・』
「ひっ!;」
『ってか帽子に青っ鼻??これはもしかして新種なんじゃ・・・ということは肉もタダのトナカイの肉じゃなくてもっと美味しいんじゃ・・・』
「・・・・・っ;」
顎に手を置きながらちらっとトナカイちゃんを盗み見れば、トナカイちゃんは全身をガタガタと震わせて完璧ガクブル状態だ。
あれ?
もしかして人間の言葉分かってる?
僕の一言一言に反応してるし。
はは、まさか・・・ね。
そう思ってとりあえず近づいてみようかなぁって思った矢先
「・・・・・ぉ・・・」
『え?』
「俺なんて喰ってもうまくねーぞぉっ!すっげー吃驚するくらいまずいんだからなー!!!;」
『え、ちょ・・・;』
「ぶわぁぁんっ!食わねぇーでくれよぉ・・・俺、まだ死にたくなんてねぇんだよぉ・・・」
トナカイちゃんは大きなお目眼から涙をこれでもかというくらい出して大声で泣いた。
鼻水もすっごい出てるし、毛皮がびしょびしょになるほど涙を流している。
・・・え、ちょ・・・・
Σってかなんで喋ってるの!?;
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