銀魂
□キライな言葉
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「ダリぃ……」
俺はいつものように、屯所の木の傍で寝ている。
まぁ、サボっている訳だ。
あの煩いマヨラーは今、会議中だから庭に来ることはまずないだろう。
「それにしても……暇でだねぃ」
何も考えずにぼーっとしていると、屯所の廊下が騒がしくなった。
どうやら会議が終わったらしぃ。
今日の会議はいつもより長いな。まぁ俺には関係ないけど。
俺は溜め息をついてまた眠ろうとした……が、あの独特な煙草の臭いがこちらに近づいてきたから、愛用のアイマスクを外す。
「「そ〜う〜ご〜〜!」」
「ありゃりゃ……どうしたんですかぃ…そんな怖い顔をして」
「てめ〜…またサボりやがって!昨日言ったじゃねぇか!明日の会議にはちゃんと出ろって!!!」
「……言ってたよぉな…言ってないよぉな……」
「てめっ!叩き斬ってやろうか!?」
「嘘でさぁ。ただサボりたかっただけでぃ……で、今日はどんな会議で…??」
土方さんは諦めたように溜め息をついた。
「はぁ……。ある旅館で攘夷浪士共が江戸に火を放つ事と、徳川の首を取る事の会談をするらしぃ。」
「へぇ〜…で、それはいつなんでぃ?」
「……今日だ。」
俺はいきなりの事だったから目をぱちくりさせた。
「今日の夜、20時から会談が行われる。俺たちは、19時30分にそこへ向かうからな」
淡々と話す土方さんをよそ目に、俺はただぼーっと聞いているだけだった。
しかもこんな眠くてだるい日に、何で討ち入りなんか………
「聞いてるか??」
そう言って土方さんは俺に顔を近づけた。
「き…聞いてやす!!」
「…あっそ。問題は……今出ていける奴らは、俺と、1番隊と5番隊くらいしかいねぇんだ。だから総悟……」
「俺達1番隊が奴らの中に突っ込んで来ればいいんですね。わっかりやした〜」
「1番隊の奴等のほうが、先陣切っていけると思ってな……」
「わかってますって。」
わかってるから……
そんな顔をするなよ……土方さん……
「……すまない…」
――ズキッ。
その言葉を聞いたら胸の奥が傷んだ。
俺はその言葉が大嫌いだ。
あんたは悪くない……
あんたがその言葉を口にするときはいつも哀しい顔をする……
俺はあんたのその顔が嫌いだ。
「大丈夫ですぜぃ。全員、仕留めてやりまさぁ」
俺は胸に引っ掛かる想いを抑えて、笑顔で土方に言った。
――ギュッ
「っ……ちょっ…土方さん…!?」
俺は土方さんの胸の中にいた。
強く…俺は抱き締められた。
「……無理…すんなよ……」
…と、耳元で囁いた。か細い声で……。
「大丈夫ですぜぃ…あんたの元に必ず戻ってきやす…心配しないで……」
俺も土方さんを強く抱き締めた。
―大丈夫。大丈夫ですぜぃ
必ず、戻ってきますから―。