小説

□暇潰しに世界征服
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「破壊神様!!」


そう呼ばれれば悪い気はしないが、自分より似合いそうな奴がいるな、と一人苦笑を浮かべる。

暇潰しに始めたゲームだが、思いの外ハマってしまいどんどんストーリーが進んでいく。毎度学習能力が無いとしか考えられない勇者達をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。

じわじわと世界を侵略していく様はやっていてとても面白く止まらない。

「あ、魔王連れて行かれた」

簀巻きにされて引きずられている魔王を助ける術もなく勇者に連れて行かれる様子を眺める。いやいや、魔王なんて煮るなり焼くなり好きにしてください。


「おい、何してんだ?」

聞き慣れた声に振り返ると勇者達なんか見ただけでも怖じ気づいて逃げてしまうであろう、金髪を逆上げた髪に尖った耳とピアス。自分なんかよりも破壊神に相応しい風貌の彼が立っていた。いつからいたのかしらね。

見上げながら自分の横をポンポンと叩けば何の躊躇いもなく座って胡座をかいて座り、私の手の中にある液晶画面を覗いた。


「んー、誰かさんが構ってくれないからゲームをしておりました」

「暇潰しに世界征服たぁ、随分スケールがデカいな。魔王連れてかれてんぞ?」

「やることは大きい方がいいからねぇ。さようなら魔王様、貴方のことはあと10分忘れない」


そう言ってゲーム機の電源を落とし、すぐ隣の体温に寄り添う。向こうも私の方に体重をかけてきて、お互いのほんの少しの空間に暖かいものが込み上げて。


世界征服はもう終わり。
次は彼の奇麗な指を弄ぶから。





不在証明さまよりお題を借りました。


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