小説
□リリ赤
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リリィー日本語ペラペーラ
大学生、同棲設定
ふわりと感じた暖かさに重たい瞼を上げた。
いつの間に寝てしまっていたのだろうか。思い出そうと壁にかけてある時計に目をやると、時間は11時48分。最後に確認した時は10時30分だったから、一時間くらい寝てしまったようだ。
カーテンを閉め切っているので外からの光は遮断され、昼か夜かも分からない状態。外の天気はきっと悪いのだろう。耳を澄ませば雨粒が屋根を叩く音が聞こえる。
横にしていた体を起こしてみると、寝入る頃には無かったはずの薄紅色のブランケットがかかっていた。
多分これをかけられた時に目が覚めたんだろう。
一人で考えを巡らせて納得した。
冴えてきた頭で周りを観察すれば台所も方でトントンと一定のリズムが聞こえてくる。
そういえば腹が空いたな。あ、いい匂いもする。
ブランケットに包まりながら生活音に耳を傾けていたらパタパタと足音が近付く。
この家に住んでいるのは自分とあいつしかいないのだから誰だか確認する必要もない。
本当はブランケットのお礼を言いたいところだが、寝起きの気分もあり少し意地悪がしたくなった。
自分を起こしに来る足音に耳を欹てながらほんの少し前までのように寝たふりを決め込むことする。
「いつまで寝ているつもりですか、赤也」
すぐ傍でする声。何度も聞いてきたはずなのに、飽きることのないそれに反応しそうになる体は本当にどうしようもないと思う。
呆れたような溜息が頭上でしたので、堪え切れずクスッと笑ってしまった。
「寝たふりが私に効くとでも思ってるんですか?」
「騙されたふりくらいしろよ」
「次からはそうします。そんなことよりお昼が出来ましたよ」
「おー、今行く」
やはり今は昼間だったのかとどこか安心しながら、その優しい背中を追いかけた。
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