小説

□無題
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彼女は泣いた。

それはもう、目から大粒の涙を流して。
誰のためでもない。自分だけの悲しみ。
“私だけ”という優越感と孤独感を感じながら泣き続ける。

彼女は泣いた。

例え、その涙がエゴであろうと。偽物であろうと。心から涙を流す。

彼女は泣いた。
泣き続けた。

すると、いつの間にやら出来た水溜まりに魚が一匹。水面から顔を出し一言。

「ありがとう。」

彼女は泣いた。
涙はもう零れなかった。








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