なめんじゃねぇよ?
□見廻りって寄り道しちゃうよねぇ。
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秋は非番も終わって疲れもとれて、次の日からまた鍛錬に追われた。
そして昨日刀の手入れをしていたら刃こぼれしているのを発見して秋は今日、一人での見廻り途中に鍛冶屋に来ていた。
「おっちゃん〜また来たよぉ」
おっちゃんと呼ばれる鍛冶屋の男は厳しそうなその顔を秋を見るなりゆるめた。
ここの鍛冶屋のおっちゃんと秋はとても仲良くさせてもらっている。
おっちゃんにお土産の煎餅(おっちゃんの好物)を渡して刀を見せた。
「また派手に使いおったのぅ。お前さんは綺麗に使う方なのにこんな短期間でまたなんか事件でもあったんじゃのぅ。」
「あはは。おっちゃんには何もかもお見通しだねぇ。
何日くらいかかりそぉ?」
「こんなもん3日もありゃあ新品より綺麗にしてやらぁ。
その間これ使いな。
最近作った上物だ。お前さん用に作ってある。」
おっちゃんから刀を受け取って鞘から抜いて秋はその鋭い刃をジッと見つめた。
「‥‥いい刀だねぇ。これ買うよ。私用にここに置いておいてくれるかぃ?」
「金なんか要らねぇさ、お前さんにやる。その為に作った刀だ。」
「いや、金は出させてくれよぉ。おっちゃんにはいつも世話になってんだ。
じゃあ見廻りの途中だから行くねぇ。
代金はここに置いておくよぉ」
おっちゃんは要らないと言ったら受け取らない頑固者のおっちゃんだと知っている秋はお金をおっちゃんから遠い場所に置いて鍛冶屋を後にした。