銀魂小説

□ドSなあんちきしょーが憎いです
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神楽は綺麗な女の人に囲まれている沖田をひたすら睨みつけていた。

成り行きとはいえホストの格好をし、愛想良く笑顔を振りまいている沖田に殺意がわいてくる。

私にはあんな笑顔向けた事ないのに。

まあ喧嘩ばっかりしてれば当たり前か。

神楽は苦笑いして手元にあるオロナミンCを一気に飲み干した。

「神楽ちゃんっ、もうオロナミンC飲んじゃ駄目って言ったじゃないか。さっきも吐いたばっかりでしょ。」

隣にいた新八が口うるさく注意する。

オカンかお前は。

「オカンうるさいアル、これが飲まずにいられるカっ。」

「誰がオカンだ!。」

新八を無視するとまた沖田の方に目をむけた。

もともと顔は悪くない、というかむしろいい方の沖田はどSトークをかましても人気が上がるだけだ。

何本めかのオロナミンCを開けていると、お客の一人が沖田の腕に抱きつくのが見えた。

そうとう酔っ払っているらしくべたべたと積極的にくっついている。

沖田は涼しい顔のままだ。

それが余計にむかついて、、、。

胸が

痛んだ

音がした

思わず心臓の部分を押さえる。

痛みに気づきたくなかったのに、お客が沖田に顔を近づけたのを見た瞬間に気づいてしまった。

「駄目アルっ!。」

思わず立ち上がって叫んでいた。

急に聞こえた声に驚き、店にいた全員の視線がいっせいに神楽に集まった。

「何してんだ、神楽の奴。」

「神楽、、、ちゃん?。」

銀時と新八の呟く声が聞こえた。

「あっ、な、何でもないアル。悪夢みてただけネ、ちょっ、と頭冷やしてくるヨ。」

あわてて言うと神楽は店の外に飛び出した。

「神楽ちゃんっ。」

追いかけようとした新八を銀時がとめた。

「ぱっつぁん、今はそっとしておこうや。」

「銀さん、、、。」

「もう、先に追いかけていった奴がいるからな。」

天然パーマの男はそういってニッと笑った。

新八が銀時の視線の先を見るとさっきまで沖田がいたはずの席だった。

沖田の変わりにほかのホストがいる。

新八は銀時と目を合わせて笑った。

「そうですね。」

その様子は娘のデート現場を目撃してニヤニヤする父と母のようにも見えた。

その頃、神楽は高天原の屋根の上にいた。

遠くに走る気力もなかったからだ。

それに、、、。

寝転ぶと真上には、満点の星が見えた。

「綺麗アルなー。」

歌舞伎超では、ましてはこんなネオン街でこんなに星が見えるのは珍しい。

ほんの少し安らいだ気持ちになっていたがさっきの事を思い出すとまた胸がチクリと痛んだ。

「痛い、、アル、。」

また、胸を押さえた。

「おい、チャイナ。」

急に覗き込んできた沖田に驚いて顔を上げると見事に頭突きをかましてしまった。

「「いってー。」」

「何すんでぃ、この石頭。」

頭をさすりながら沖田は神楽の隣に腰を下ろした。

ミルクティー色の髪が少し乱れている。

「何しにきたアルか、、、。」

同じように頭をさすりながらまた寝転んでみる。

「お前、何でぃあれは。急にでけぇ声出しやがって。」

「別に、、お前に関係ないネ。」

「そーかよ。」

沖田は眉をまげてふてくされたような顔をした。

まただ、、、。
沖田は私の前では笑ってくれないアル。

「ただ、、、お前が、何か私の前では笑わないからっ。」

沖田は神楽に顔を向けた。

「はぁ?。」

「ほかの人にはあんなふうに笑うのに、、それにあんなにべたべたされて、、。」

「お前、それヤキモチ?。」

「っ、違うアル!。」

顔を真っ赤にして否定しているくせに目をそらさない神楽に沖田は笑ってしまった。

「馬鹿だ。」

「馬鹿って言うほうが馬鹿アルっ!。」

沖田を睨みつけるると、沖田が笑っているのがわかって。

あ、、笑ってるアル。

目を細めて笑う沖田が心底かっこいいと思ってしまった。

「馬鹿だ。」

いつの間にか沖田の顔が至近距離にあった。

近いっ、と思った時には唇に柔らかい感触があって。

わけがわからずに戸惑っているとすっと顔が離れていった。

立ち上がった沖田は屋根を歩き出していた。

「チャイナぁ、早く降りろよ。旦那達が待ってんぞ。」

そういってひらりと屋根から降りていった。

「な、、っ馬鹿ヤロー!。」

神楽は叫ぶと銀時達のもとに走っていった。

「銀ちゃああん!。」

まだ酒を飲んでいた銀時はひらひらっと神楽に手を振った。

「おーう神楽ぁ、お前どこいってたんだぁ。」

「屋根の上!、それより銀ちゃん!サドヤローどこアルカっ!。」

「屋根ってオメー、天国にでもいくつもりか?。総一郎君ならマヨ&ゴリと帰ったよ。」

「あのヤロー帰ったアルカ!。今度あったらただじゃおかねーアル!。」

握りこぶしをつくる神楽を見て銀時と新八は笑った。

「オメーら本当仲いいな。」

「誰があんなサドヤロー!。」

「でも、沖田さんって神楽ちゃんといるとき楽しそうだよね。」

「えっ?」

「知ってるか?総一郎君お前といるときたまに、優しく微笑んでるんだぞ。」

「そんなの、ありえないアルよー。」

「さあ、どうだろうなあ。」

怪しげな笑みを浮かべる銀時と新八に向かって神楽は傘を構えた。

そんな事、あるわけないアル。

爆音とともに銀時達の悲鳴が夜のネオン街に響いた。

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