べるぜバブ小説
□そこは悪魔が降り立つ場所
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ヒルダは魔界に帰ると短くて3日、長くて一週間は帰ってこない。
しかも必ず男鹿の部屋の窓から入ってくるのだ。
男鹿は窓から部屋に入ってくるヒルダを睨み付けた。
「おいヒルダ、今日という今日は言わせてもらうぞ。」
「む、一週間ぶりに帰ってきたのだ。少しは休ませんか。」
涼しげに言うヒルダはまだ靴を履いたままだ。
「いーや、言わせてもらうね。」
男鹿はヒルダを指差した。
「窓から入って来んなって何回もいってるだろ!変な噂がたっちまうだろうが!
あと土足禁止!。」
「心配ない、誰にも見られないようにしている。」
ヒルダは靴を脱ぐと男鹿のベッドに足を組んで座った。
「よくねーよ!。」
このやろう。人の話をききやしねぇ。
男鹿は苛立ちのあまり額に青筋を浮かべた。
だがヒルダのこの一言でいっきに怒りを忘れてしまったのだ。
「仕方あるまい、この部屋が私の帰える場所なのだ。」
「な、なん、、、。」
しどろもどろする男鹿にヒルダはまたしれっと返した。
さも当たり前であるかのように。
「だからこの窓はいつも開けておくのだぞ。」
やっぱりこいつにはかなわねぇなあ。
男鹿は溜め息をついた。
「わかったよ。」
しょうがねぇな。
ここがお前の帰る場所になれたなら。
そして俺は今日も窓を眺めてお前の帰りを待つ。
年中開いているようになった男鹿家の二階の窓。
そこは悪魔が降り立つ場所。