Ib trip

□舞台の幕開け
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すると突然光がチカチカと点灯し始め

床に文字がペタペタと浮き上がってきた


W お い で よ ルチア W


Wしたにいらっしゃい ルチア


ひみつのばしょ おしえてあげるわ
W


絵空事の絵の所にはそう書いてあった

吃驚したイヴとメアリーは私に抱きついてきていた

大丈夫だよ、と言いながらそっと抱きしめる

ゲームで見たときと同じだ

文字から察するに、ギャリーが招いてきた筈

イヴは案外落ち着いていたが

メアリーはガタガタと震えていた

無理もない、今まで過ごしていた楽しい日々が

崩れてしまう可能性が高いのだから

加えてギャリーも怒ってる気がする

私はそう思った


怯えている2人の頭を屈んで撫でてあげる

「私がいるから大丈夫だからね」

「うん…」

「…ルチア…怖いわ…」

メアリーはぎゅっと抱きついてきて泣き始めた

余程嫌なのだろう、裏美術館に行くのが

彼に会うのが、作品に会うのが…

イヴは困ったようにオロオロしていた

何故泣いているのかわからないのだろう

記憶が戻っていれば、理由なんてすぐわかるけど

戻ってしまったら、メアリーの事どう思うのかな

きっと、それも怖いのかな


落ち着かせてから1階へと降りていく

勿論手はしっかりと離さないように繋いで

ゲーム通りなら、深海の世の柵が開いてる筈だからだ

作品の前までくると、思ったとおり

柵が1つだけなくなっていた

「イヴ、メアリーいくよ?」

「この中に入るの…?」

「やだ…行きたくない…」

「大丈夫、必ず私が守ってあげるから」

「わかった…」

「ルチア約束だよ…?」

「約束するね、それじゃあいくよ」


絵に飛び込むと、ジャプッと音を立て入っていった

口からぶくぶくと泡が出て上へと昇っていく

でも苦しいってことは全くなく、息が普通に出来る

不思議な世界に溺れていった

そして段々と薄れていく意識

繋いでいた手を離し、2人をぎゅっと抱きしめた

離れてしまわないように、ぎゅっと

そしてそこで意識は消えて

冷たい水の中を落ちていった







(ふふ、いらっしゃい、待ってたわよ、)
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