Gerutena Doll

□失った約束
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一頻り泣いた後、ゆっくりと顔をあげてみると

心配そうに覗き込んでくるイヴとギャリー

「ヒチル大丈夫…?」

「…えぇ、ごめんなさい、ごめんね」

「いきなり泣くから吃驚したじゃないの

本当にどうしたの?」

「…なんでもないの、なんでもないのよ、何も」

相手の顔を見れなくて、思わず目を伏せてしまった

馬鹿みたい、馬鹿だわ、馬鹿よ本当

わかってたはずよ

生まれ変わるってことは、こういうことだと

どうして期待なんてしてたのかしら

どうして還ってくるなんて思ったのよ

でも、仕方ないわよね、仕方ないわ

貴方たちはあまりにも同じすぎた

意地悪ね、意地悪だわ、意地悪




「授業…始まっちゃったね…」

「あら、本当…でもこのまま戻るのもね」

気づいたら校内は始まりの合図のチャイムが

鳴り響いていた

廊下を歩いていた生徒たちはバタバタと走り

教室へと入っていく

私たちは特に急ぐこともなく

その場に座り寛いでいた

「…このまま…さぼっちゃおうか…」

「そうね!ヒチルもそのほうがいいでしょう?」

「…私はどっちでも構わないわ、構わない」

「じゃあ決まりね」

気を使ってくれたのだろう

2人は立ち上がって私に手を差し伸べてくれた

手を伸ばし彼らの手を取り立ち上がる

ギャリーとイヴは嬉しそうに微笑んだ


「じゃあ学校の事案内するわね

あんまり動くと先生にばれちゃうから

アタシたちの秘密の場所に連れて行くわね」

「…とってもいい所…ヒチルも喜ぶ…」

手を引かれ茂みの中へと入っていく

一体どこへ連れて行くというのだろうか

私がきたこの学校は敷地がとても広く

川が通っていたり、中庭があったり

色々と自然が豊かな珍しい所だ

流石芸術の場所と言うだけある

そして暫く茂みを進んでいくと

目線の先に少し光が見えてきた

少し眩しくて目を伏せる




完全に視界が明るくなり、ゆっくりと辺りを見ると




目の前に広がったのは




小さな川と一面と埋め尽くす薔薇の花だった
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