【♂】Ib long
□プロローグ
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窓から外をぼーっと見つめていると
朝からどうも騒がしい、何があるっていうのかしら
「なぁギャリー知ってるか?」
「何が?」
「今年の1年にあの有名な画家の子が入学したらしい」
「へぇ、それで騒がしいわけ?」
「それが超美人でかっこいいらしいんだよ」
友人は楽しげにその1年の話をしていた
どんな子かしら、興味が湧いてきた
この学校全体がここまで騒ぐってことは
相当な子なんだろうか
「あ、どこいくんだよギャリー!」
「ちょっと散歩に行くだけよ」
さて、どこにいるのかしら
その1年の子
まぁすぐわかるでしょうけど
―――
――
―
噂と言うものは恐ろしい
僕が入学して1ヶ月経つくらいなのに
僕の周りには沢山の人で溢れていた
専門に通ってたときもそうだ
両親が有名で憧れって事もあるんだろうけど
本当、やめてほしい
「ねぇシュチィはどこの高校だったの?」
「綺麗な顔してるよね!女?男?」
「俺シュチィの親のファンなんだ!」
「シュチィの絵好きなんだ!描いて何か!」
シュチィ、シュチィ、煩い
でも話さないと色々と面倒だから会話をする
表情は何一つ変えるつもりもないし
毎回毎回聞きなれた台詞ばかり
つまらない、退屈だ
僕は絵を描きに来たんだ、皆もそうだろ
「じゃあ、僕そろそろ行くから、またね」
「えー!もういくの!一緒に帰ろうよ!」
「ごめんね、迎えが来てるんだ」
逃げるようにその場から走った
懲りずに追いかけてくるアイツ等、しつこいな
そう思っていると不意に手を引っ張られた