Ib trip
□舞台の幕開け
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とりあえず、ぼーっとしていても始まらないので
美術館を歩いてみることにした
進む事に感じる違和感0、それは
夢のときに歩く感覚はぎこちなくムズムズするが
今は普通に歩いているようにしか感じられない
それに、作品たちが鮮明に目に映る
ドットでしか見たことがないけど
目の前にあるゲルテナの作品は
隅々まで手描きされ、綺麗な物だった
腕を組んで見ているとカサッと音が聞こえた
「あら、ポケットに何か入ってる?」
手を入れてみると小さい紙があった
こんなの入れた覚えがない
不安が頭に過ぎる
意を決して、恐る恐る開いてみる
Wルチアよ
君にお願いがあって、この世界に呼んだんだ
突然のことで吃驚してしまってるだろう
わたしも何故こんなことが出来たか
実はわからないんだ
ごめんね、でも許して欲しい
どうしても、彼を救ってあげてほしくて
今、とても大変なことが起きていてね
それは君にしかできないことなんだ、頼んだよ
またこうしてメモを送るから、その都度確認してほしい
それではまたW
「彼…?それってギャリーの事…?」
後ろを振り返ってW忘れられた肖像Wを眺めた
本当にトリップしちゃったんだ
夢だと思ってたのになぁ
にしても、なんなんだろう
私にしかできない事…?
手紙の相手はゲルテナ…?
それに、大変なことって…?
疑問を抱きながらも、帰れそうにないし
やってやろうと心に決めた
でもどうやって裏美術館に行けばいいんだろう
絵空事の世界に行けばいいのかな
私はメモをポケットに入れ、その場所へと向かった