Ib trip
□知らない物語
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昔、此処にいたある少女の部屋に
紫のメッシュ、ボロのコートの男が
W指定席Wに寝そべり造花の青薔薇をクルクルと
回しながら嬉しそうにニヤリと笑った
「ふふふ、又会えるなんて嬉しいわ
それにしても、あの子見たことないわね…
まぁいいわ♪外に出たら、ルチアとイヴと
楽しく過ごすんだから…ふふふ…あははは」
大きな声で笑い始め、傍にあったマネキンを
ざっくりと刺すと、赤い液体が滴り落ちた
「さぁ、いってくるわね、――…」
立ち上がり、ソファの奥に置かれている
棺桶に向かってそう言うと、部屋から出て行った
―――
――
―
「う……ん……」
目を覚ますと薄暗い、ゲームでよく見た風景が広がる
ここはIbの裏の美術館
そういえば深海の世から飛び込んで来たんだっけ
イヴとメアリーはどこ…?
急いで起き上がって見渡してみるが
姿はどこにもなかった
「嘘…ちゃんと抱きしめてた筈なのに…」
起き上がると、花瓶に薔薇が生けてあるのが見えた
それは紫薔薇、きっと私の薔薇なのだろう
薔薇を手に取って眺めてみる
花弁が何故かとても多く、15枚もあった
そんなに私の精神力ってすごいって事?
加えて張り紙には
【そのバラ 朽ちる時
あなたも 朽ち果てる】
【バラとあなたは 一心同体
命の重さ 知るがいい】
と、綴られていた
「…それにしても、この部屋ギャリーがいた所だ
奥には青い服の女がいるのかな」
チラッと奥を覗いてみると額縁が見えた
きっとあそこに青い女の絵があるのだろう
危ない目に会う前に此処から出ようと思い
扉を開け、素早く隣のフロアへと移動した