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初詣警備が終わると、室長に連れられて、私は彼の家に直行。 そのまま、ベッドへ寝かされた。 「あ、あの。泪さん……」 「いいから、黙ってろ」 そんなこと言うから、覚悟してたのに。 室長は私を抱きしめたまま、寝息を立ててしまった。 名前を呼んでも、起きる気配がない。 (泪さん、働き詰めだったもんね) そういう私も、疲れていたのか、いつの間にか眠ってしまった…。 それから、5時間後。 すっかり目が覚めた私たちは、ベッドの中で、ずっと寄り添っていた。 直接触れる肌のぬくもりが、心地良い。 「泪さんたら…いきなりキスで起こされた時は、ビックリしたんだから」 「目が覚めたら、お前も寝てて可愛かったから、つい。…でも、悪くなかっただろ?その後のも…」 囁きながら、首筋にキスを落とす室長。 その感触に身体をよじらせながら、熱い息を吐き出した。 「イジワル……」 「俺はそういう男だ」 いつもより激しいスキンシップに、頬が熱くなっていく。 「なあ、仕事に行く前にもう1回……いいだろ?」 「え!まだ仕事?」 「初詣警備の報告書を提出しないとな」 「なら、帰ってから…」 「いいから」 流されるまま、私は室長の心地好いキスと愛撫に目を閉じた。 ほとんど休まず再び出勤して行った室長が心配だったけど、彼は、日が暮れた頃に帰ってきた。 「おかえりなさい」 「ただいま」 玄関先でキスをして、私が仕度したささやかなお雑煮を食べる。 泪さんは「どうしてエビが入ってないんだ?」と言い出し、しばらくはそれぞれの家のお雑煮談義になった。 夕食後は、ようやくのんびりソファーでくつろぐ。 「明日も俺は出勤だ。お前もだな」 「私たちに、お正月なんて関係ないもんね。でも私、今の仕事が好き」 「そうか。1年経ってそう言ってもらえたら、俺も嬉しいよ」 室長は静かに私を抱きしめた。 「これからも、よろしくな」 「こちらこそ。よろしくお願いします」 仕事も、恋人としても……。 唇に、そっと触れるだけのキス。 その次は、深く熱いキスを交わす。 室長の唇は次第に首筋、そして鎖骨へと移動した。 「る、泪さん……まっ……待って。今日は、もう帰らなきゃ」 「何で」 「だって明日は仕事だし、同じ服のまま行くわけにはいかないから」 「着替えなら、あるぞ」 「え?」 「私服もスーツも、シャンプーもリンスも洗顔料も……ハブラシもある。俺の家は、もうお前のもので溢れてるんだ」 室長は笑いながら、私のおでこに、頬にキスを落とす。 「今日も泊まっていくよな?」 ソファの上に押し倒され、またキスの嵐。 次第に頭の中がとろけて、何も考えられなくなっていく。 「正月はどこにも連れてってやれない分、しばらく俺の家にいろ」 室長の手が、私を気持ちよくしてくれる。 「どこにも行かなくていいよ。泪さんと一緒なら、私は幸せだから」 手を伸ばして、私は室長の背に腕を回した。 「嬉しいこと言うなよ。歯止めが効かなくなる」 重なり合う身体、混ざり合う熱。 私たちは指を交差させると、またキスを交わした。 「愛してる」 その言葉は、キスと共に私の身体へ溶けていった。 〜終わり〜
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