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非行防止教室の日。 私は小野瀬さんとペアで新宿二丁目のお店にいた。 お店に集まっていたのは、眠そうな顔をしたニューハーフのお姉さんたち。 ……というよりはお姉さんになる前のオジサンたちで、中には顔の半分にうっすらヒゲを生やした人もいた。 小野瀬 「…というわけですから、未成年が夜の繁華街に出入りするのを防いでいただくよう、ご協力をお願いします。……うわっ!」 非行防止教室が終了した途端、小野瀬さんはお姉さん(?)たちに取り囲まれていた。 「いやん、こちらのオマワリさんったらイ・イ・オ・ト・コ♪」 「何よ、アタシが先に目をつけたのよ!ねぇ、アタシとこの子、どっちがタイプ?」 「は?!」 小野瀬さんの声が裏返るのも無理はない。 どちらのお姉さんも、普通のオジサンなのだ。 「ダメよ!アンタにはちゃんと彼氏がいるでしょ!」 「何よ、アンタこそ!」 「申し訳ないですが!遺伝子がXYの人間には興味がありませんので!は・な・れ・ろ!」 「あら。イキがよくてピチピチしてる!」 「ホント、おいしそう♪」 こうなるといつもの小野瀬さんのドSぶりもまるで役に立たない。 かといって、ニューハーフさんを相手に、口説いて丸め込むわけにもいかず……小野瀬さんは手も足も出なかった。 「ねぇ、今度は非番の時に一人で来なさいよぉ〜」 「アタシたち、すっごくサービスしちゃう♪」 「櫻井さん、助けて!」 「あらやだ、そんなに怖がらなくたっていいじゃない!」 「もっとこっちいらっしゃいよ!」 「櫻井さん、何とかして!」 お姉さんたちに囲まれ、壁際に追い込まれた小野瀬さん。 でも、如月さんとの待ち合わせの時間が迫っていた。 「あの、すみませんが私はこれで……!」 身動きできない小野瀬さんに頭を下げ、私は店を飛び出した。 (すみません、すみません!小野瀬さんはどんな人たちからもすごくモテるってことがよくわかりましたから!) 「う、うわぁ〜〜〜!!」 小野瀬さんの悲鳴が、新宿二丁目に飲み込まれて行った。 *** 続く……
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