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警視庁、捜査室。 泪 「翼!俺、冬子から秘密を聞き出してきたぞ。偉いか?」 翼 「えっ、凄いです。偉いです。泪さん、お手柄です!」 泪 「やったー」 ぴょーん。小さい穂積は冬子の手から、翼の胸ポケットに飛び移る。 泪 「ただいまー##59##」 翼 「おかえりなさーい##59##」 冬子 「あらーっ?」 泪 「へーい♪」 ぱちん。 上機嫌な小さい穂積は、翼の隣に寄り添って立った、大きい穂積が差し出す手の平とハイタッチ。 冬子 「ほ、穂積さん!なにこれずるい!」 穂積 「悪いわね、冬子。このちびがいなくなると、翼が泣くのよ」 翼の肩を抱く穂積。 冬子 「秘密を交換したのに!ポケット穂積くんのこと、みんなに言いふらしてもいいんですか?」 穂積 「冬子、『秘密』というのはね、公にされると具合が悪いもののことを言うの」 冬子 「……あっ!」 穂積 「気付いたみたいね。そう、『身長18.5cm、リカちゃんサイズの穂積がいる』なんて言いふらしたら、アンタ、入院させられちゃうわよ」 穂積 「それに、このちび、こう見えてファンが多いの。こいつを飼ってるなんて知られたら、アンタ命を狙われるわよ」 冬子 「!」 穂積 「まあ、このちびの事は口外しない方が賢明ね」 愕然としている冬子に、大きい穂積がそっと耳打ちする。 穂積 「俺と一夜の関係をもっておけば、一生、俺の秘密を握れたのに」 冬子 「あ!……あのー、小さい穂積くんは返しますから、い、い、今からお願いします!(涙目)」 真っ赤になってお願いのポーズをとる冬子から、ぶっぶー、と言いながら穂積が離れる。 穂積 「残念、時間切れです」 冬子 「悪魔ーーー!」 ハッ、と冬子は目を覚ました。 ……ここは、昨夜穂積に連れてこられたホテルの一室。 慌てて室内を見回すと、窓際の机の上で、人形のように小さい生き物が、自分の身体と同じくらいの大きさのボールペンを抱えて、備え付けのメモ用紙に、一所懸命で何かイタズラ書きをしている。 ……夢じゃなかった。 ホッと胸を撫で下ろした冬子の気配に気付いたのか、その生き物が冬子の方を向き、ボールペンを転がすと、にこにこ笑って手を振った。 可愛らしいしぐさに冬子も口元を綻ばせ、思わず手を振り返す。 すると、次の瞬間、小さな穂積は開け放たれていた窓から、ぴょーんと外に飛び降りた。 冬子 「きゃー!」 慌てて窓に駆け寄った冬子が眼下に見たのは、遥か下で、落ちていった小さい穂積を受け止める大きい穂積。 大小の穂積は揃って冬子を見上げると、手を振った。 それから、あっという間に、車に乗り込んで去って行く。 冬子がメモ用紙に視線を戻すと、そこには穂積のものらしい綺麗な筆致で 「冬子、どうもありがとう。情報の出所がお前だという事は、秘密にしておくから」 そして、さっき小さい穂積が頑張って書いていたらしい、たどたどしい文字が。 「ばいびー」 ……我ながら悪魔ね、ワタシ。 冬子、今回は面白いテーマをありがとう。 さーて、小野瀬と交代だわ。
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