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澪とはおそらく、別のパーティーの鉄板の前で出会ったのではないだろうか。 見事なコテさばきで、他の出席者たちのためにせっせと豚玉やイカ玉を焼くその姿に俺は胸の高鳴りを覚える。 むう、やるなこの女。 俺がじっと見ているので、澪も俺に気付く。 そして、 皿に乗せたお好み焼きを差し出すのだ。 「すみません気付かなくて。どうぞ」 「すまんな」 なかなか気が利く女だな。 ……って、食いたくて見ていたわけではないのだー! 俺の視線の意味に気付いたのか、心の中に響き渡るツッコミが聞こえたのか、澪は静かにコテを差し出す。 「すみません気付かなくて。どうぞ」 「すまんな」 鉄板を見ると血が騒ぐぞ。 ……って、焼きたかったわけでもないわー! がしかし、鉄板の前でコテを渡されてお好み焼かぬは男の恥。 黙々とお好み焼きを焼き始める俺の姿と華麗なコテさばき、そして、俺の焼いたお好み焼きの美味さを知った澪は、料理漫画の審査員のようなリアクションをして俺のお好み焼きの虜になってしまうのだ。 「慶史さん、私にあなたの味を伝授してください」 「よかろう。だが道は険しいぞ」 こうして俺と澪は交際を始めるのだった…… ちょっと待て! 澪は小野瀬派で、俺にはクラッとしないんかーい! 険しいのは俺の「いい夫婦」までの道程だー!
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