水面に姿を映してみた。変化の無さ過ぎる表情には我ながら人でない気がした。既に人ではないのかもしれないが。
「何してんの」
「…」
あんまりだ。突然の声に驚く事が出来なかった。
「…何だ」
声の主が誰なのか解っていた為、振り向かずに答える。(答えになっていないが)
ただ、こいつの気配は不安になる程に心地が良くて恐ろしい。
「キュウが川に来るなんて珍しいね」
「…」
「何かあった?」
「…俺が人なのか、確かめていた」
「は?」
疑問符を頭上な浮かばせながら、その目は俺を映した。やはり汚れがなくて恐ろしい。
「問題ない…正気だ」
まるで可哀想なものを見るかのような目に思わず否定をする。尤も、俺にとっては狂気こそ正気なのだが。
「でも、人じゃなくたって私はキュウが…」
「…人だ」
「そうだね」
水面に映るそれは眩しい程に輝いた。
いつか笑い声さえ聞こえなくなれば良いのに。
(070620)
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