『アイツ』

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どうしてかは解らない。けれどアイツを見てるとイライラする。


それはどうして……?






【アイツ U】







昨日とんでもない事件が起こりました。思い出すだけでもおぞましい出来事。
それは……



「…っ……!?だぁぁあぁあッッ!!」



頬に感じたあの柔らかい感触。不覚にも思い出してしまったカガリは奇声を響かせ、机にメキメキと頭突きを繰り出し記憶を抹消しようと試みる。だが、記憶は消えてはくれず段々と激しさはエスカレートしていく。



――バッギィィッッ



「え?何…って、ぇええ!?か、カガリ!?何やってるの!?」



勿論記憶を抹消してるんです。
心の声でそう返し、前の席の住人キラが驚いているのも気にせずカガリはなおも机に自身の頭をメリ込ませ頭突きを続ける。だがそれはキラによって阻止されてしまった。



「ちょっ!止めなよっカガリ!血っ!カガリ血出てるって!!」


「ぅ…だって…」



キラに両肩を掴まれ顔を覗き込まれる。
そのキラの表情があまりにも心配そうだった為、うっかり涙が出そうになった。
何だか最近、私は涙腺が緩いみたいだ。
そんな自分にキラは優しく微笑みかけハンカチで血が滲み出ている額を拭ってくれた。





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