『アイツ』

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きっと私は、コイツに振り回される運命なんだろう…





 【アイツ 第4話】






「ねぇカガリ、アスランと付き合ってるって本当なの?」


「しっ!黙ってろキラ!見付かったら血祭りだぞっ」


自分を覗き込むキラの問掛けを流して、カガリは額に冷や汗を描きながら口許に人差し指を当て、中庭に生い茂る草木の陰に隠れ周囲に視線を巡らせた。
見付かれば血祭りは必至。命の保証は無い。


「くそっ…あの腹黒男め…!」


思わず声を大にして叫びたいのを、必死に呑み込んでカガリはボソリと、しかし、最大級に殺気の籠った声色を発し独りごちた。
一体どうして何の罪も無い自分がこんな目に遭わなければならないと言うのか。
時は昼休み。
本当ならばこの時間はカガリにとって、羽を伸ばせる幸せの一時だったはず。
堅っ苦しい授業から逃れられる貴重な休み時間だと言うのに、こんなところでコソコソと身を潜めている。
それも休み時間の度に追われている為、身を休める暇が全くもって無い。
カガリは嘆きたい気持を何とか抑え、ギリリと歯を鳴らした。


そもそもの事の発端は約四時間前である。


『ああ、付き合ってるから。ね、アスハさん?』


爽やかな笑みを乗せ、ぬけぬけとそんな事を言いやがったあの男。成績優秀、容姿端麗、ずば抜けた身体能力、その他etcと誰もが憧れ羨む皆の生徒会長アスラン・ザラ。
しかし皆は知らない。
アイツは超が付く程の猫被り、そして性格最悪男だと言う事を。





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