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□穏やかな日
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「いつか絶対、オールブルーを見つけてやるんだ」

それが、俺の好きな奴の口癖だ。





【穏やかな日】








快晴な空の下、ゴーイングメリー号は7人を乗せてグランドラインを進んでいた。


「おーいサンジぃ。腹減ったぁー!!」
威勢のいい声と共に、勢い良くキッチンのドアを開け放ったルフィは、直ぐ様自分の席へと腰を下ろす。
「んな焦んなって。もう出来っから」
あらかじめ用意しておいた皿に手際良く盛り付け、ほんの少し手を加え見栄えを整えた後テーブルへと運ぶ。
「すんげぇー!!美味そうだなぁ!!」
目を輝かせて喜ぶルフィに、当然だと言わんばかりに得意気な顔をした。
「あら、今日はフレンチなのね。美味しそう」
「サンジくんのこんなに美味しい料理を毎日食べられるなんて、あたし達ホントに幸せよねー」
匂いにつられて、ロビンやナミ、ウソップとチョッパーもキッチンへと足を運ばせてきた。
「あれっ?ゾロは??」
一つ空いている席を指差し、ウソップが言った。
「ったく。いつまで寝てやがるんだあのくそマリモめ。皆先食っててくれ」
「「はーい」」
という声とは反対に、一人だけ澄ました顔で、「もう食っちまった」と言う声が背中から聞こえてきたが、聞こえていないフリをした。




「オイ、飯だ。さっと起きやがれくそ野郎」
サンジは、座って寝ているゾロを見つけるや否や、何のためらいもせずにゾロの脇腹を蹴り飛ばした。
「ってぇ。…もうちっとマシな起こし方出来ねぇのかよ、テメェは」
脇腹を押さえながら、大きなあくびをした。
「早くしねぇとルフィに食われちまうぞ」
冗談で言ったつもりだったのだが、奴ならやりかねない。
「へいへい」
ゆっくりと起き上がり、もう一つあくびをして体を伸ばす。
(腹減ったなぁ…)
ゾロはサンジの後からキッチンへと向かった。


「あ、わりぃ。サンジ、ゾロ」
キッチンへと足を踏み入れた瞬間、ルフィが悪いとも思っていないような顔で謝ってきた。
始め、何事かと首を傾げたサンジであったが、すぐに状況を飲み込んだ。
「あぁっ!!きさま俺達の飯まで食いやがったな!?」
テーブルにはまだ、二人分手付かずの料理が用意されているはずなのだが、あっという間にルフィの胃袋に納まってしまった為、見当たるはずもない。
「だって今日のやけに美味かったからさぁ、つい」
「何がついだこの野郎ー!!」
サンジの蹴りによってキッチンから転がるようにして飛び出たルフィと、腹を空かせたゾロが派手にぶつかる。
「…っ!?何事だぁ?」
いきなり飛び出してきたルフィの下敷きになり、とりあえずルフィを退かして起き上がる。
「そいつが俺等の分の飯食っちまいやがったんだよ」
「あ゛ぁ゛!?おいルフィ、吐き出せ」
「無茶言うなっ!!」
サンジはため息を吐いて、調理場へと足を運ぶ。
「ったく、しょうがねぇなぁ」
生憎今日は人数分しか作っていなかったため、新しく作るしかない。
それも、自分とゾロの二人分だ。
(簡単なもんでいーな)
ナミとロビンの為に作るのとは、話が違う。
(くそマリモだし)
「おい、さっさと飯つくれや」
クルーのほとんどが食事を終える中、一人偉そうに足を組んで大きなあくびをするゾロに、よりテキトーな飯を食わしてやろうという気持ちが大きくなった。
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