銀新

□HONEY
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「うわ…これどれだけ電気代使ってるんでしょうね」
「そういう夢のないことを言うな。貧乏臭さがにじみ出てるぞー」
予想外にでかいツリーの周りには、予想以上の人だかり。
それも、9割型カップルだ。
「新八ー、迷子になるなよー」
ふと、横にいる君を見た。
だけどそこに君はいなくて。
「…言ってるそばから迷子ですかー!?」
あわてて周囲を見渡して、人ごみに流される君を見つけた。
「…ったく。」
溢れんばかりの人ごみを掻き分けて、君の手を取る。
「あ!銀さん!よかった〜」
俺のカオを見て、ホッと安心した顔をして微笑んだ。
(そんな可愛いことすんなって…!!)
これ以上可愛いことされたら、俺の理性が持たなくなるだろ。
「…銀さん?」
繋いだままの手を、このまま放したくなくて強く握り締める。
「…どうしたんですか?」
どうせ、周りの人間はツリーに目を奪われて俺たち二人のことなんかこれっぽっちも見ていないだろう。
「銀さ―――…!?」
君にそっと、重ねるだけのキスをする。
「!?」
君は何が起こったのか分からないというように、目を丸くして俺を見つめてくる。
だけど数秒後、ことを理解したのか…顔を真っ赤にして俯いた。
そんな君が愛しくて、愛しくて、人目も気にせず抱き締めた。
「ちょ…銀さん!?さっきから何して――」
「大好き。新八、大好き」
「!!?」
やっと、言えたよ。
いくら鈍感な君でも、さすがにこれなら分かるだろう?
「……銀さん、恥ずかしいから放して下さいよ」
「…もう少し」
だって放してしまったら、君は俺から逃げていくだろう?
俺のこと怒って、避けるだろう?
だからもう少し。
この瞬間だけでいい、幸せを感じたいんだ。
「…放してくれないと、銀さんの顔が見れないじゃないですか…」
「…?」
俺は腕の力を緩めて、新八の顔を見た。
これは、夢なのかな。
新八が俺を見て、微笑んでくれている。
照れた顔をして、しがみ付いてきてくれている。
「僕も、…銀さんが好きですよ」
信じられないけれど、俺は君を手に入れる事が出来たのかな。
「でも!人前であんな…き…っキス…とかは、…ってちょっと!聞いてるんですか!?」
ぎゅっと抱き締める、愛しい人。
お説教なら、後でいくらでも聞いてやるよ。
そのかわり、手に入れたからには、もう放さないから。
覚悟しろよな―――…








END
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