ORIGI

□Catastrophic Love Story 後編
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電話を切り、水也は大きなため息を一つついた。
(これで…いいんだ)
もう一度、自分に言い聞かせた。
俺はこの子の傍にいるって…決めたんだから。
水也は、隣で眠る由梨の頭を優しく撫でた。
「ん…水也?」
まだ眠い目を擦りながら、ゆっくりと身体を起こす。
「おはよう」
優しく自分を見つめる瞳。これが、由梨の欲しかったもの。
その瞳に見つめられると、自分は本当に愛されているんだと実感できる。
「…由梨…、その…今日の夜は…」
「分かってる。お兄ちゃんの…お通夜でしょう?」
その話題を言い出しにくそうな水也に変わって、意外にも由梨はさらりと口にした。
「…大丈夫か?」
水也は、由梨を抱き寄せた。
「…うん。平気…」
それはきっと、水也との約束が支えになっているからだろう。
「辛かったら、ちゃんと言えよ?溜め込んだら駄目だ」
「…うん。ありがとう」


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