ORIGI

□Catastrophic Love Story 後編
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望の葬式などで、年末年始忙しかった為、水也たちはまだ初詣を済ませていなかった。
「…そうね」
クリスマス以来、水也の態度が今まで以上に優しくなっていることに、水也本人は気が付いていつのだろうか。
由梨はそんなことを思いつつも、はにかんで水也の差し出した手を取った。
そんな由梨を見て、水也は胸がチクリと痛んだ。
『七緒の元には帰れない』
あの日以来、今まで以上に七緒のことが頭からはなれない。
キッパリ別れたはずなのに、七緒の切ない声が忘れられないでいた。
七緒と別れ、由梨と婚約したことを、後悔しているわけでもない。
ただ…――。
「何お願いしよっかなぁ…ね、水也」
「ん?…そうだな」
こんな事を思いながらも、由梨の隣でのうのうと笑っていられる自分が許せない。
それがたとえ由梨の為だとしても。
(最低だな――俺)
忘れるんだ。七緒のことは。忘れて…由梨だけを想って生きていくんだ。
「やっぱり、健康祈願≠ゥなぁー。水也は?」
「由梨のおっちょこちょいが治りますように=Bまさかコーヒーに塩を入れてくるなんて思わなかったよ」
「やっ…あれは砂糖を入れたつもりだったの!」
由梨は顔を真っ赤に染めて言った。
「他にもあるよ?全部言う?」
「もう。水也の意地悪っ」
笑い混じりでそんな会話をして――傍(はた)から見ても、恋人同士が楽しくじゃれ合ってるとしか見えなかっただろう。
だから、声をかけられたとき、正直どう反応しようか戸惑った。
「―――三嶋」
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