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□大好きなひと
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「はぁ!?」
山本は長い指をスッと獄寺の頬を撫でるように添えた。
「俺は獄寺のことが好きだ。髪も、肌も、唇も…。全部好きだ」
「…!! おいっ!!」
山本の手が服の中に入り込んでくる。
「瞳も、声も、仕草も、表情も、全部―――…」
目を開けたままキスをされ、獄寺は自分をじっと見つめるその瞳から目をそらすことが出来ない。
「…好きだよ。獄寺…」
その瞳が、声が、あまりにも切なくて。
獄寺は思わず抱き締めた。
「………れだって…。俺だってお前のこと…好きだ。でも、俺はお前みたいに素直じゃねぇから、そんな…恥ずくて言えねぇし…」
「………うん」
「だから…その、なんつーか………っ」
「……うん、もういいよ。サンキュ」
顔を真っ赤にする獄寺の頭を撫でて、おでこに軽くキスをした。
「許す。だから、無理しないでいーよ」
山本はやわらかく微笑んだ。
(…違う)
獄寺はうつむいたまま唇を噛み締めた。
(違うんだ)
(…伝えたいんだ)
(俺の、キモチ――…)
「………ぇ…」
「ん?」
獄寺は、喉まで出かかっていた言葉を思い切って口にした。
「…っ声も、髪も、仕草も、笑った時の表情も…全部が、好きだ」
獄寺からの不意打ち告白に、山本は顔を真っ赤にした。
「…ありがとう」
山本は獄寺を抱き締めて、最上級の笑みを見せた。
「じゃ、俺達バカップルだな」
「…知るか」
そして互いに見つめて、笑い合った。









END
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