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□ずっと大切にしてきた幼なじみ
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(くそっ。何考えてるんだ俺は)
俺の中の醜い感情が、溢れ出す…。
せめておばさん(キラの母親)がいてくれたら、この感情を押し殺せる自信があるのに。
(今まで通りの幼なじみでいたいのなら…っ我慢しろ)
必死で自分に言い聞かせた。
が、それも虚しく、戻って来たキラの姿を見た途端、俺の理性は崩された。
「ごめんねアスラン、アスランも早くシャワー浴びてきたほうがいいよ」
雫が落ちる髪。ほんのり火照った身体。こんな短時間でのぼせたのだろうか、瞳がトロンとしている。
ドアの向こうから現れたキラは、腰にバスタオルを巻いているだけで。
「キラ…っお前その格好…」
「あぁ、うっかり替えの服もって行くの忘れちゃってさ」
俺の苦悩など、まったくもって分かっていないキラは無邪気に笑った。
(抑えろ)
(今此処で抑え切れなかったら、今まで大切にしてきたものが…)
(キラを失いたくないのなら…っ)
(我慢しろ)
《RRRRR...RRRRR...》
その時、静かだった部屋に、電話の音が鳴り響いた。
「あ、もしかしたらシンかも」
キラのその言葉に、俺は疑問を抱く。
「…シン?」
「うん、たまに電話かかってくるんだよ」
シンは、俺とキラの後輩で、たまに三人でつるんだりしている。
しかし、キラとシンが休日に自宅に電話をするほどの仲だとは、聞かされてはいない。
…今まで俺が守ってきたもの。
これからもずっと、それは変わらない。
(でも、もし)
もしもこのまま…ずっとこのままだったら…?
いつか他の誰かが、俺からキラを奪うとしたら…?
―――その瞬間、俺の仲で何かが壊れた。
《RRRRR...》
俺は、受話器に伸ばしたキラの手を掴み、床へとねじ伏せた。
「アスラ…?」
(ほかの誰かに奪われるくらいなら)
《RR...》
(いっその事そうなる前に…―――)
「アスラン?…痛っ。ねぇ…どうし…――?」
(俺が奪ってやる)
「アス…やめっ」
俺は抵抗するキラに、無理やりキスをした。
「やだぁっ!!おかしいよアスラン!!何でこんなっ…」
ごめんキラ。でももう、止まらない。
「いやああぁぁっ」
キラの身に着けていた唯一のタオルを剥がして、キラの上に跨(またが)って、動けないようにした。
両手を床に押さえつけたままなので、キラは抵抗出来ない状態になった。唯一自由な足を懸命にじたばたさせるが、そんなことで俺が退く筈も無い。
「アスラン!!離してぇ」
キラがどんなに泣き叫んだって、良心に響かなかった。
「…何で…アス…ラ…っ」
一度堕ちてしまえば、後は堕ちるしかない…――。
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