魔法少女リリカルなのは〜不屈の心と鋼の後継〜

□〜お買い物しましょ!〜
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「ちょっとキリランシェロ!」
「ん?」
今日は翠屋のバイトも休みという事でなのはのコーチに専念し、彼女がへろへろになってキリランシェロに背負われて帰宅すると、彼を待ち受けていたのは高町家の長女・美由希だった。
「また上下黒なの!?」
彼女の指摘通り、キリランシェロの服はほとんどが上下ともに黒が多い。というより9割5分黒だ。彼曰く「黒魔術士が黒を選ぶのは性なのかな」だそうだが。
「君は顔も悪くないし、スタイルもいいんだからもうちょっとオシャレに気を使わないとだめだよ!」
「そう言われてもなぁ・・・」
なのはを降ろして浴室に直行させ、美由希の説教に困ったように頭をかく。
キリランシェロは生まれてこの方、オシャレ等に気を使った事はないし、その方面にお金を回すほど余裕はなかった。大抵『塔』のなかで過ごしていたし、支給される黒のローブを着るだけで済ませていた。同僚の恋多き赤毛の少年はいろいろと気を使っていたようだった。
もちろんその数多い恋はキリランシェロの恋愛クラッシャー(アザリー)によって粉砕されてきたのだが。
「よし!今度の休みに買い物に行こう!ちなみに拒否権は認めません!」
「・・・はい」



そして次の休日。海鳴市のデパートの前には意気揚々と立つ美由希、どことなく疲れた感じのキリランシェロ、そして、プクッと可愛らしく頬を膨らませてキリランシェロの手を握ったなのはの姿があった。
(ちぇっ。せっかくキリランシェロと一緒にデート気分を味わえるかなって思ったのになー)
なのはは普段訓練も学校も無い日の朝は遅いのだが、今回のデートを桃子から聞かされた彼女は姉と師である少年の2人きりのデートを阻止すべく早起きを敢行したのだ。
(私だって、キリランシェロ君と一緒にお買い物したいのに・・・お姉ちゃんはズルイの!)
バチバチと火花を散らす高町姉妹。2人に挟まれた哀れな子ヒツジ(キリランシェロ)は義姉達の定例姉妹喧嘩を思い出し、いやな汗を流すしかなかった。



「ほらー、キリランシェロにはこれが似合うって!」
「違うよ、こっちの方が似合うの!」
試着に疲れたキリランシェロがベンチにグッタリともたれる一方、高町姉妹は入り口での険悪な雰囲気はどこへやら、姉妹仲良く楽しそうに服を選んでいる。
(やっぱり女の子っていうのは買い物が好きなんだ・・・)
「キリランシェロ、ちょっとこっち来て!」
「次はこれを着てほしいの〜!」
・・・まだしばらく、キリランシェロが着せ替え人形になることは変わりないようだ。

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