短編/シリーズ
□悪食的愛欲
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「勘ー、いつまで舐めるの?」
「もーちょい」
そう言って、俺の指を舐める勘。
勘と付き合い始めたのは、数ヶ月前。
"名前、君を食べちゃいたいくらい好きなんだ付き合って?"と言った感じに勘に告白され、最初は戸惑ったものの、前々から勘のことが好きだった俺は、"俺で良ければ"と答えたのだ。
そして、付き合っていく中で思ったことがある。
「…なぁ、勘ってカニバ?」
そう。今もだが、俺の指を舐めたり、首を噛むなんてしょっちゅうある。
「かも。…ね、名前、少しだけ噛んで良い?」
勘は、そう言うと上目遣いで俺を見上げて聞いてくる。
俺が勘のこの顔に弱いの知ってるから。
勘は確信犯だ。
「軽くね。食いちぎんないでよ?」
「ん、」
俺の言葉に、短く返事すると、勘は俺の指を甘噛みし始めた。
少しくすぐったい。
「…美味しいのか?」
あまりにも嬉しそうにしているので聞いてみると、勘は、指から口を離し微笑む。
勘の口と俺の指の間に、銀色の糸がつながっていて、プツンと切れた。
「うん。名前の指、甘くてすっごく美味しいよ。ね、首と唇とほっぺも舐めたり噛んだりしていい?」
勘は、俺の膝にまたがり、据わった目で言う。
目には俺しか映っていない。
本当に俺の体が好きらしい。
それも、異常なまでに。
「食いちぎんないなら」
「やった」
勘は、すぐに俺の首元に顔を埋めて舐めたり噛んだりを繰り返す。
「ね、名前がもし死んじゃったら、俺が食べて良い?」
俺の頬を舐めながら勘が聞いてくる。
「んー…死にたくないけどな……うん、死んだら食べて良いよ。解剖とかされたくないし、勘に食べられる方が嬉しい」
「へへっ、やった」
勘は可愛く笑う。
俺が"でも…"と続けると、勘の顔から笑顔が消える。
多分、俺が今から言うことと違うことを考えている。
「俺は、まだ勘とこうしていたい。こうやって生きて、勘と愛し合いたいな」
そう言うと、勘は"俺も!!"と言って笑った。
悪食的愛欲
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勘ちゃんはカニバだと思う←
ちなみに、名前が言った、「俺が言うことと違うことを考えている」っていうのは、勘ちゃんが"名前が自分以外の誰かに名前の体を食べさせる"とか"やっぱり無理"と言われると思ってたからです。
わかりにくかったらすいませんm(_ _)m
ご閲覧ありがとうございました
光夜