@秀徳

□ねぇ、気づいてよ。(緑高)
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期末テストまで残りあと一週間。


俺の恋人真ちゃんとは必要最低限の会話しかできていない。



おはよーといえばおはよう。

ばいばいといえばじゃあな。


ほんのあいさつ程度だ。




テスト一週間前だからと言って、さすがにコレは少し寂しい。



ねぇ。
もっと構ってよ。真ちゃん。



朝、教室に入ると隣の席にはもう彼がいた。


「おはよー真ちゃん」


「おはよう。」


「…」


「…」


沈黙。
ああ
いつもの事だけど、これは堪え難い。


静かに参考書を見るその人に思い切って話し掛けてみた。


「なぁ真ちゃん。今度勉強教えてくんない?」


ゆっくりと顔を上げた真ちゃんは心底不信そうな顔をしていた。


「何故なのだよ。高尾もそこまで頭は悪くないだろう?」


ここで折れたら負けだ!!
頑張れ、和成!!


「いやっ…ちょっと聞きたいところがあるから…」


「どこなのだよ?」


えっ?今!?


「えっと…明日、ウチに来てくんねーかな」



「…学校では駄目なのか?」

「あ…うん」


「…わかったのだよ。」


少し強引だったが、なんとか真ちゃんをウチに呼ぶことができた。




そして次の日。
学校が終わって直接、真ちゃんは俺の家にきた。


「今日は親も出かけてていないから…」


「…そうか。」



そうして勉強を教えてもらっていたが。


「できているのだよ高尾。わざわざ俺が教えることもない…」


「……」


勉強を教えてほしいなんてのは、真ちゃんを家に呼ぶためのただの口実。


「どうしたのだよ?」

超鈍感な俺の恋人は、はっきり言わなきゃ気づいてくれない。

全く
ねぇ、そろそろ気づいてよ。



「真ちゃんに…構って欲しかった。」



俺から出た声は糸の様に細く弱々しかった。


「?」


「テスト前で、全然真ちゃんとしゃべれねぇし、真ちゃんもそっけねぇし…」



やべ。

声が震えてる。



頬に、ツーッと熱いものが伝わった。


「高…尾」


真ちゃんは悪かった、と俺の頭をそっと撫でた。


その大きく優しい手のあたたかさに、また熱いものが込み上げくる。




「大好き…真ちゃん。」
 

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