絡夢

□惇×操
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ぽかぽか…
暖かい昼下がり。

春の陽気に包まれ…
文卓の上に広げた書筒に堂々と頬杖をつく男が一人。

「…眠いのぅ…」

「………」

傍にいる男は頬杖をついている男をちらりと横目で見ると
瞼を閉じ‥短く溜め息をついた。

それを見た男は文卓に突っ伏して呟く…。

「…元譲は冷たいのぅ…」

 





「孟徳、書筒はあとこれだけだ」

「ん…?」

文卓に突っ伏したまま、曹操はうとうとしていたらしい…。

横に積まれていた書筒の山は…
残りわずか。

「元譲が…」

「目を通すだけのものは通してやった。あとは俺には出来ん」

ぶっきらぼうに言い捨てドカッと胡座をかく夏侯惇。

その背後には、彼が目を通したらしい書筒の山が出来上がっていた。

「儂が見ずとも良かったのか?」

「どこぞの軍師の愚痴の山だ。放っておけ」








「…っくしゅん!!!
…フン…花粉の季節め…忌々しいっ」

…羽扇に沢山の花粉がついている模様。








魏の軍師、司馬懿は日頃の曹操の執務怠慢にお怒りです。





 
「…良し…」

最後の書筒の処理を終え、曹操は夏侯惇を見た。

「………」

夏侯惇は真っ直ぐ曹操を見つめ返す…。

「「終わっ……」」

二人同時に執務が終わったことを確かめる。

「元譲」

「ん…?」

「散歩に行くぞ」

曹操はそれだけ告げ、一人執務室を出て行った。

夏侯惇は否も可も言わずに曹操に続く。

二人は別々に馬に跨がり駆け出した。
 
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