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□Happy Birthday
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2156年3月16日―
確か、その日は晴れていた。
薄暗い研究室の唯一の明かり取りの小窓から、四角い小さな青空が見える。
コポッ・・・と横を泡が通り過ぎた。
たくさんの管が自分と機械とをつなげている。冷たくぬるっとした薬臭い液体がまとわりついてくるようだ。
ドクンと、心臓が波打った。
静かに目を開けると、ひびの入ったガラス管の向こう側に、今自分が殺したのであろう人達が、白衣を真っ赤な血にぬらして倒れているのが見えた。
皆、心臓の部分に大きな穴を開けている。一番近くにいた研究員の胸には、まだ刃が刺さったままだ。
【システム全面解除】
という脳に響く機械的な言葉とともに、その刃は風を切って元の形―自分の右腕に戻った。それを、静かに見る。動かしてみるが、まるで自分の物のようには感じない。
チリリと、脳が痺れる。
何かに邪魔をされているような感覚。
だが、それが何かは、分からない。
ふと、部屋の隅で物音がした。
【生命体を確認】
セイメイタイ・・・・
脳を揺らす機械音のメッセージを繰り返す。
意味のない言葉。
それは、血溜りの中にあった。
【固体名:お母さん】
オカアサン・・・
何かをつぶやいている。
【消去します】
何かを・・・