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□Command to Kill
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 2176年8月3日。
 旧ニューヨーク市街。

 現『死の大地』

―の、ど真ん中に位置する第六研究所。
 昔、植物の兵器化という偉業を成し遂げたが、今は他の研究所と等しく、無人の廃墟となっている。
 だが、そんな誰も近づかない地上に残された数少ない建物は、テロ組織の格好の隠れ家となる。

 本日の指令『第六研究所に集まったテロ組織のメンバーを始末せよ』

「モカ、来たよ・・・5人だ・・・」
「時間も人数もピッタリね・・・って、アズキ!そんなに乗り出さないで・・・!」
 研究所の中は錆びた鉄の臭いと染み付いた薬品の臭いがそこら中に充満していた。ドーム状になっているこの建物。天井は抜けて、隙間からどんよりとした雲がのぞき、時折冷たい風が吹き抜ける。建物の内側にそって螺旋状に伸びる階段も、所々ゆらゆらと安定していない。鉄壁は、雨の強い酸性でそのほとんどが溶けて氷柱のように垂れ下がっている。
 そんないかにも危ないところに、5人の爆弾を持ったテロリストと、2人の完全装備の子供がいた。
「スゲー!あれ爆弾!?しかも最新型!ウッヒャースゲー!」
 建物の二階部分の陰に隠れている2人の子供のうち1人が、小声ながらも興奮気味で言った。
「うるさい・・・聞こえたらどうするの・・?私知らないから・・・」
 元気の良い先程の声に比べ、今度は物静かで落ち着いた少女の声がそれをスッパリと黙らせる。
「なんだよ〜い〜じゃんか〜」
「だからうるさい・・ハァ・・・まったく、これだからガキは・・・」
 少女はあからさまにため息をつき、手元の端末を開いた。もちろん、後ろでぶつくさ文句を垂れている相方のことは無視。
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