神様の悪戯

□誤魔化せてればいいな…
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<上城レイさんには我が校入学の件を取り消していただきたい>


なぜ、こうなった…


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


話は30分前―――――――


辰巳、貴之、あたしで受験終了の快気祝いに外に出かけていた時のこと。

あ、この時すでに貴之は石矢魔行きが確定しました。

涙流しながら説明してくれたよ。

硬中を卒業したとはいえ、辰巳はまだまだ不良に絡まれ続けている。

3人で歩いているときでも、かなりの数の不良が話しかけてきたり、掴みかかってきたり…。

正直あたしと貴之は逃げまくってたけど、すべてのケンカを辰巳は買っていた。

何やってんの…。



『辰巳…』

「む?」

『む?じゃなくてね、
 いい加減売られたケンカ全部買うのやめなって』

「そうだ!俺たちその度にヒヤヒヤしてんだぞ!」

「俺強ェから心配いらねーよ」

「『違う!』」

「男鹿の心配してんじゃねーよ!
 俺らの命の危険性の問題だ!」

「そうよ!いつこっちにまで掴みかかってくるか気が気じゃないわっ!」

「そんときはそんときだ!」

「『威張るな!』」



今度は全速力で逃げるからな!と貴之が叫ぶ。あたしも逃げてやる!


あたしらが必死に説得したかい合って、今日は不良を一発KOして手短に済ますことにしたらしい。

あんまり解決策ではないと思うんだけども…。


すると、ブーブーとマナーモードにしていた携帯が振動した。誰だろ…?

二人に電話でるって言ってから、画面を確認すると、'聖石矢魔学園'の文字。

え、なんで!?


『も…もしもし…?』

<聖石矢魔学園ですけど、上城レイさんですか?>

『はい、そうですけど…』

<自宅に連絡したのですが、不在だったようなので携帯に電話させていただきました>


この人、かなりあたしが物腰の低くなってしまうしゃべり方だ。こっちが恐縮してしまう。


『あぁ、すみません。外出中でしたので…』

<いえ、かまいませんよ。
 それで、要件と言うのがですね…>


なんか恐ろしく嫌な予感がした。

それと同時に言いようのない不安感。


<上城レイさんには我が校入学の件を取り消していただきたい>

『…は?』


思わずケータイを落としそうになった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


<大変申し訳ありません>

『え、ちょっ、待ってください!
 なんでそんなことになったんですか!?』


あまりに大きな声を出したから、辰巳と貴之も不思議そうにこっちを見ている。


<言いづらいのですが…
 先日、貴方と他校の不良がケンカしているのを職員が目撃してしまいまして…>

『けっ、ケンカ!?』


なんで!?あたし一般人ですけど!!ケンカなんて全くできませんけど!!


『それっていつですか!?』

<先週です>

『先週…?』


先週…先週…。

…あ。

それって…先週辰巳のケンカに巻き込まれて、不良の一人に肘打ち食らわしちゃった奴…?


『それかなり語弊があるんですけど!!
 それは、男鹿辰…』


あたし、今…

辰巳の所為にしようとした?

あたしは親友だから一緒にいて、

自分の意思でケンカに巻き込まれたとしても一緒にいたのに…

辰巳の所為に…

いや…


『…はい、認めます』

<そうですか…それでは…>

『入学…取り消しも受けます』

「「!?」」

<今なら他の高校でも二次募集は受けていると思いますので…
 それでは失礼します>


プー…と電話の切れる音で何とも言えない感情がざわめいた。

辰巳と貴之は眉をひそめて携帯片手に立ち止まったあたしを見ている。


「レイ…?入学取り消しって…」

『あー…聞こえてた?』

「何でだ!?」

『えっと…』


なんて説明する?

あのまま説明したら完璧に辰巳のせいみたいになる。

避けたい。それは避けたい。

嫌なんだ。辰巳の所為にするのは。

ファイトだあたし!演劇部並みの演技を見せつけてやりなさいっ!


『二人と同じ高校行きたかったから!!』


うっわー。

こんな笑顔初めてしたよ。

口角を限界まで引き上げて、多分満面の笑みだろう。

恥ずかしっ!!そして何か悲しい!!

そんなかなり作り笑いだけども、笑みをみて辰巳は何か知らんけど

ちょっと顔赤い?ままあたしの頭をなでてきた。

え、何で?


「そうかァ!!レイも俺たちと一緒の高校行けるのか!!
 それにしてもいいのか!?
 せっかく受かったのに」

『う…うん!!いいの!!
 あたしの本心だからね!!』


辰巳がバカでよかったァァァ!!(失礼)

ものの見事に誤魔化せたよ!

あれ、これも騙してね?

罪悪感感じるんですけど!!

まぁ…いいや。


ただ、貴之はあたしの顔をじーっとみて何かを考えているようだった。


誤魔化せてればいいな…

―――――――――――――――
男鹿が意外とピュアでした。
 

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