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□greatboy
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「なんか、真ちゃんってさ、自分からあんまり何もしてこないからつまんねぇよな」


高尾に言われた。










夢を見た。



【greatboy】



きっと俺は、自分が思ってる以上に高尾が好きだ。
言葉に表せない、態度でも表せない。
でもちゃんと思ってる。
伝えられないから、いつも高尾にあんな顔をさせてしまう。



「また泣かした…」



はあ、と無意識にため息が出る。
去り際の高尾の顔があまりに悲しそうで、自分を殴りたくなる。
そんなことしても、意味はないのだけれど。
ケンカという、些細なことをいつから日常に入れてしまったんだ。
いつも何がいけなかったんだ。
いや、解りきってるか。



「俺の態度、か…」



真ちゃんの態度はわかりづらい、俺のこと好きか嫌いかわかんねぇ。
泣きながらそう言った高尾が思い浮かぶ。
馬鹿か俺は。
なんで泣かすんだ。



「悪い、高尾…」


「ホントにな、真ちゃん」


「……お前はふざけてるのか」



目の前にいる奴を、あきれたように睨む。
正直、今はこうテンション高い奴には会いたくない気分だった。
しかもこいつだし。
にこにこ笑って、ドアにもたれかかっている。



「恋人、泣かしちゃったんスか」


「黙れうるさい、お前には関係ない」


「恋人が今、俺の家にいるって聞いても、関係ないって言えますか?」


「…何を考えてる」



嫌な想像が、俺の頭の中でぐるぐると回る。
ダメだ考えるな。
考えたら、いくら相手が黄瀬でも俺は…。



「嘘っスよ!!!!」


「は…?」


「緑間っち、顔怖すぎ!!」


「う、うるさいのだよ!!だいたい、お前がいらんことを言うから…」


「まあ俺の家にはいないっスよ。笠松センパイの家にいるっス」




笠松、センパイ…?
海常のキャプテンか。
なんで高尾が。
疑問を悟ったのか、黄瀬がゆっくり話し出した。



「ついさっき、秀徳に練習試合の申し込みに行ってて帰りにバッタリ高尾っちに会ったんスよ。泣いてたからビックリして、とりあえず今はセンパイの家にいるから落ち着いてると思うっスけど」


「なんで、そのセンパイの家にいるのだよ」


「高尾っちが、自分の家には帰りたくないって」


「そうか…」



たぶん、俺が家に来るとでも思ったんだろう。
やっぱり今回は、相当やばかったりするんじゃないか…。
今日で何回か分からないため息をついた。



「緑間っち、ついに頑張りの時っスね」


「何を言ってる…」


「緑間っちが高尾っちにデレデレすればいいんスよ!!」


「は…?」


「愛情表現っスよ!!」



黄瀬は意地悪そうに笑って、頑張ってと言いながら去っていった。
なんだあいつ。
っていうか黄瀬はなんでここに来たんだ。
でもまあ、良い案を残していってくれた。
デレデレは無理だけど、ようは甘えればいいってことだよな。



「だが愛情表現というのはどうも苦手だな…」







やがて翌日。
なんていうか、妙に緊張するのは気のせいだろうか。
教室の自分の席を、立ったり座ったりしている。
来てくれるか…。
メールで呼び出しだなんて柄にもないことをしたけど、高尾はちゃんと、来てくれると返事をくれた。
考えていると、教室のドアが開いた。



「おはよ」


「た、かお…おはよう…」



しどろもどろになりながら表情と頭の中は冷静を保った。
何を言えばいいのだ…。
黄瀬に聞いてくるべきだったな。



「何、話って」


「あのだな…えっと」



間が空いてしまう。
どうしよう。
どうする。
俺は普段、どんなことを高尾としゃべっていたんだろうか。
口を開けばケンカばかりだったから、最近はちゃんとしゃべっていなかったな。



「緑間?」



呼び方も、真ちゃんじゃないのは気づいていた。
だから余計に、悲しかった。
息をのみ、ゆっくり高尾に近づいていく。



「俺は」


「何…?」


「た、たか、た…」


「たんたかたん?」


「ぶはっ!!」


「な、何笑ってんだよ!!」



真剣な話をしようとしていたのに、高尾の聞き間違いが笑いを起こした。
ああ、やっぱり。
俺はこっちがいい。
無理に笑って、ぎくしゃくするよりは。



「俺はちゃんと、お前が好きだ」


「なっ…何いきなり」


「今まできちんと言えなかったからな」


「んなの…ずりぃ」


「すまない。だか俺はいつだってお前には笑っていてほしい」



ぎゅっと抱きついてきた高尾を、俺もキツく抱きしめ返した。
久しぶりの高尾の匂い。
さすがに約一ヶ月も触れていなかったら我慢なんかできる気がしない…。



「高尾、我慢できない」


「え?」


「ヤりたい」


「は!?ちょ、まじ今日の真ちゃん、はずい!!」



顔を真っ赤にして、また抱きついてくる高尾がなんとも可愛くて、顎をくいっと上げて、そのままキスを落とした。



「ん、」



招くように開いた隙間から自分の舌を入れて高尾の舌と絡める。



「んぁっ…は、」


「っ…高尾…」


「ふ、ん…んんっ」



苦しそうにトントンと俺の胸を叩くから、一度離れた。



「、ばか…」


「うん、馬鹿なのだよ」


「なんか、真ちゃんってすっげーな」


「なんでだ」


「…なんとなく?」



言って、へらっと首を傾げる高尾に我慢がキレてそのまま頂いた。



end!!


真ちゃんは(ツン)デレツンな気がするのは私だけか(^o^)


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